同性婚推進派が黒人の支持を得られなかった理由

2008年11月4日は歴史的な日になった。

『CHANGE』(変化)というスローガンのもと、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生したが、同時にカリフォルニア州では今まで同性愛者が持っていた婚姻の権利が奪われるという、後ろ向きの方向での『CHANGE』(変化)がおこってしまった。フロリダ、アリゾナの2州でも同性婚が禁止され、またアーカンソー州では同性カップルが養子を持つことが禁止された。

カリフォルニア州のProp8(同性婚禁止条項)の可決については、黒人が7割以上の確立で賛成の票を投じたことが話題になっている。(参考:CNNの出口調査

Prop8(同性婚禁止条項)については事前の世論調査では、可決と否決がギリギリの均衡を保っていたが、バラク・オバマを支持する普段は投票しない(政治的に発言しない)層の黒人票が多数掘り起こされた結果、Prop8が可決に至ったという分析がされている。

現在カリフォルニア及び全米ではProp8の可決をきっかけに、同性婚の禁止に対する抗議活動がさかんに行われているが、そこで、黒人有権者層の上のような投票行動を批判するような動きが見られる。

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黒人の7割、ラティーノの5割以上がProp 8(同性婚禁止条項)に賛成したって?我々は、あなたがたの権利をサポートしたのに?」


Prop 8への抗議活動で見られた看板の1つである。この看板においては

我々/あなたがた = ゲイコミュニティ/黒人&ラティーノ

という二項対比が使われており、実際にはゲイコミュニティの中に多数いるはずの黒人&ラティーノ、またその他の有色人種の存在が事実上無視されている。そして、実際現在進行形で行われている多くのProp 8(同性婚禁止条項)への抗議活動もその参加者の多数は白人である。(もちろん黒人やラティーノもいるが、人口比と比べ、決して参加率が高いとはいえない)

もっとも、上のサインに象徴されるような、黒人およびラティーノをProp 8可決の元凶としてスケープゴートとするような抗議活動にはゲイコミュニティの内部からも疑問の声が上がっている。

Prop 8(同性婚禁止条項)が可決してしまった背景には、Prop 8反対派、そしてこれまでのゲイ・アクティビスムに内在化している白人優位主義があるという指摘がされはじめている。これまでのゲイ・アクティビズムがいかに白人中心主義だったか、そして黒人をはじめとする有色人種の共感を得るような活動をすることができてきていなかったか、という批判も始まっている。

アクティビストのJasmyne A. Cannickは、黒人層にとって同性婚は、レズビアン当事者であるジャスミン自身にとってすらまだ切実な問題ではないと打ちあける。(参考記事:LA Times 「Prop8の白い偏見」)現在でも、黒人に対する人種差別はなくなっておらず、黒人であることだけで、受ける不利益が沢山あるからだ。

黒人は、未だに白人よりも学校の中退率が高く、失業率が高く、また平均所得も低い。運転しているだけで理由もなく警官に車を止められたり、ショッピングモールの中で警備員にあとをつけられたりする。(Driving While Blackといわれ、人々が無意識に人種によって人々を判断する=Racial Profiling現象の1つ)婚姻よりも重大だとおもわれるそれらの問題を解決しないうちは、同性婚推進運動は、黒人コミュニティの中で大きな支持を得られないだろうとジャスミンは示唆する。

また、ジャスミンは、Prop 8反対派が、黒人公民権運動が教会によって強力に指導されたという歴史を無視している点や、Prop 8反対派が恊働を呼びかけた唯一の黒人団体である全米黒人地位向上協会は既に古くさく、そこと組むだけでは黒人コミュニティへの強い影響は望めなかった点などを失敗の理由として指摘している。




Jasmyne A. Cannick
ロサンゼルス在住の作家、アクティビスト。
レズビアンであり黒人。
彼女が友人達と撮ったショートフィルム「The Incredibly True Adventures of the Sistas of the Canyon」は2008年のOUTFESTにて上映された。


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本当に勉強になります。このニュース気になってたので
  • 2008/11/12
  • ゆず
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