リベレーション活動におけるメリット戦術の有効性と限界

前回のマリファナの日のエントリに関して、コメントいただいたので簡単にレスします。(mozzoさんありがとうございます!コメントや反応がないことで絶望しかけていたところだったので嬉しかったです)

(誰しもが当事者になりうる)大麻の議論の部分で面白いなと思ったことは、賛成派も反対派も社会のメリット/デメリットを挙げて議論しているのに対して、同性婚の議論は「当然の権利として主張する」ことが多いのかなと。

人を動かすとか何かを変える(ここでは法律を変える)ためには、社会的な合理性(大多数が異性愛者という前提でのメリット・極論として同性婚の合法化によって発生する異性愛者のメリットみたいな)が戦術としては←(ここ強調)結構重要になってくるのかなと。.
エルレイさんの話を思い出しました。



うーん。マリファナを喫煙することゲイであることでは全く種類が違うので、マリファナ合法化ムーブメントと同性婚ムーブメントを一概に比較することはできないってしつこく元エントリにも書いたのですが…。

(マリファナ合法化ムーブメントから学ぶべきものは、同性愛者ムーブメントの進め方それ自体の戦術というよりも、【同性愛者が同性愛以外のトピックに対していかに「同性愛のトピックに関して、無自覚な異性愛者っぽい態度」を採ってしまいがちか】ということへの反省だと思う)

でも、せっかくの機会なので、やや脊髄反射的ですがメリット戦術について書いてみたいと思います。

■「正しさ」で人は動かない。「メリット」で人は動く

ゲイリブを効率的に進める上で、人権とか正しさはあんまり役に立たない。正しさで人は動かない。特に日本ではそれが顕著。それは何度も指摘されていることです。

そういう意味で、オルタナティブとなるようなゲイリブのあり方として、いくつか示唆を頂いた1つがこのメリット戦術(相手にとってのメリットを訴えるというもの)もう1つが、感情戦術(感動や人情に訴えるというもの)あとはもう1つファッションやポップカルチャーの力を使う。

これらはもちろん一定の効果があります。そういう意味でメリットベースでもっと訴える戦術を使うべき!という主張は非常に正しい。各地のアクティビストたちはそれなりにそういう↑戦術を取り入れて活動してると思いますし、それは多数派の支持を得るために必要なことでしょう。(特に自分はポップカルチャーの力に注目してます!)

だが、これらに対しての批判も当然考えられる。

(今回は感動戦術やポップカルチャーを使った方法については省き多数派へのメリットを訴える戦術についてのみ書きます)

■メリット戦術への批判

まず、大多数に取ってわかりやすいメリットとはなりえない形でのリベレーション活動っていうのはいっぱいあるわけっすよ。(ちょっと想像してみたけど、ホッキョクグマを救えとか、動物テスト反対とか。チベット解放とか。黒人解放運動だって、白人だらけのアメリカ中西部の田舎とかでは、必ずしも大多数のメリットにはならなかっただろう)

また、こちらがメリット戦術ばかりをメインとして訴えかけていくと、「それらのメリットは自分に当てはまらない!自分にとってメリットにならないなら、同性愛差別してもいいや!」もしくは、「むしろ差別することが、自分にはメリットになるから同性愛差別しちゃえ!みたいな立場に対して言い返せず、非常に無力になってしまうという問題もあります。

マリファナ合法化については、「マリファナを吸うことは基本的人権だ!」的に構成することが不可能ではないにしろ、そのロジックで多数の支持を得ることが難しいために、ある意味しかたなく社会に与えるメリット戦術を取っている部分があると思うんですよ。

でも、基本的人権の侵害として構成できるようなトピックの場合、話は違ってくるし、必ずしもメリット・メリットでガチガチに構成しなくてもよいと思うのです。そういう意味で、同性婚陣営がマリファナ陣営とは違い、まずは「当然の権利」的な理論を持ち出して理解を得ようとするのはある意味あたりまえかなと思います。

ぶっちゃけ、基本的人権系のトピックって、正直、大多数のメリットとは関係ないことが多いように思うんですよ。例えば、どっかの地域で誰かが貧困に苦しんでるとか虐待に苦しんでるとか…そういうのは社会の多数派にとって大した問題ではないっていうことが結構多いわけです。それに対する是正を求める活動っていうのはメリット戦術だけでは充分な力を持ちませんよね。正直、ほとんどの人にとってはどうでもいいこと。メリットベースではすくいきれないエリアがある。だからこそ、そこを守るために、「人権」や「平等」といった上位概念を持ち出す必要があるわけです。

■ゲイムーブメントは既にメリット戦術を採用している

もっとも、「自分が所属しているのは多様性が認められ、個人の自由が尊重される社会だ」っていう満足感、安心感をメリットと呼ぶならばそれはそれで既にメリット戦術を採っていると言えるかもしれません。そういう意味では、現在のゲイリブ(の一部)は既に(広い意味での)メリット戦術を使っているわけです。

でも、おそらくmozzoさんが今回コメント欄でおっしゃられている「メリット」はそれ以上の個別具体的なメリットですよね?

そういう形でのメリットをあまり提示できないリベレーション活動っていうのは結構多いと思うし(同性婚ムーブメントだってそうかもしれない)、だからといって彼らの主張が通らなくてもしかたないというのはおかしいと思うのです。

ま、同性婚を認めることによる多数派の個別具体的メリットについては今度改めてエントリしますね。まとめておくと何か役に立つかもしれないので…。

うーむ。

でもね、結局究極的には、同性婚を認めることについての一番のメリットは多様なセクシャリティ、多様な家族のありかたを認める社会の多様性につきると思う。

「自らが同性カップルを差別しない社会に住んでいる」の誇りと、それを実現できる自分の属する社会に対する信頼、そういう社会に住みたい!という希望、それらが現在(異性愛者も含め)同性婚を支えているもっとも大きな人々のモチベーションであるように思うのですがね。

上のような社会の多様性というのが、今現在人々にとって充分なメリットとして認められない場合(←そんな理想論みたいの全然メリットじゃないよ、多様性なんて何の役にもたたないよ、という人が多い場合)、それを皆がメリットとして感じるような社会に、社会自身が変われば面白いのですが…。

ま、そんなこといっててもはじまらないので個別具体的なメリットを考えてみます。というか今後そういうのを掲げている議論を探して紹介します。今少し考えてみると、下のようなものが思いつきますが…。

・同性婚による経済効果 雇用の創出
・出生率の増加(同性カップルの子育て環境が整うことにより)
・…?

もし何かご存知の方はお教え下さい。
■おまけ:レズ当事者に対しての「メリットが見えない」というレトリックとそれに対する対処のアイディア


あとここからは話がややズレますので、追記にします。

以前エルレイさんからは、ゲイリブは(多数派=異性愛者へのメリットという以前に)、レズ当事者にとってすらメリットが見えないというご指摘を頂きました。


「みんながGoldFingerに行くのは、イベント行けば音があるし酒があるし楽しいし、運がよければ出会いがあるし、って、メリットが、非常に明解。じゃあ、逆に、真昼間から仮装行列(のお供)してそのへん練り歩くことに、何のメリットが??? っていった時に、具体的に何もイメージできないのは、なんでかな?って。レズの地位が上がる?レズが可視化する?それって何?って。「遠い未来に、何かしら、自分にメリットがあるかもしれないこと、そして、その第一歩が仮装行列だ」ってこと? 私は、そっから、とにかくもうサッパリわかんない。

ゲイリブを嫌う『超クール』な人々  コメント欄よりelwrayさんの発言



あは★

こういう感想を持つ層っていうのはそもそも議論の俎上に乗ってこないので、ホント、もう正面から「レズビアンであることによりこういうデメリットが~」とか「抑圧が~」とか「多様性が~」とか言って議論しようとしても、効果がない。

こういう層に対しては、「正しさ」を訴えるものにしろ「メリット」を訴えるものにしろ、政治的な言葉は届かない。なので、活動をしかける側も、正面からメリットを訴えるとか小難しいことはやめ、なんとか、「楽しさ♪」とか「感動★」とか「かっこよさ」「気持ちよさ」などを総動員して、誘惑して、巻き込んでいくしかないのかな~と思います。

てか、自分もどっちかというと二丁目どっぷり系レズだったんで、ここでエルレイさんが指摘している(飲み屋で選挙活動をおっぱじめるような)リブ系陣営に対する違和感、ダサい!痛い感じは、非常に感覚として理解してるんです。リブ系陣営は、こういうアンチリブ目線というか[エルレイ的なもの]を無視するのではなく、きちんとそういう感覚を持つ層が存在することを認識し、彼らを普通に巻き込んでいけるような戦略を採っていってほしい。私もいろいろ考えるんで…!

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comment

あはは★
どうもどうも。ところで、ちなみに、追記の部分について、議論の俎上に上らない層、っていうのは、「存在する」とかじゃなくて、(あくまで私の体感ですけど)多分むしろほとんどの子がそうではないかな? 無関心なヒトって、そもそも「私は関心がありません」と声をあげないから可視化されないけど。ネットや何かで意見を書いたりする人のほうが実際はすごく少数な気がする。
ある意味「アンタなんか嫌いだよ」って、わざわざ書く私もレアケース、ていうかよっぽどリブに関心あるほうだと思う(笑)

だから、ゆうさんが仰るような、「楽しさ♪」とか「感動★」とか、ソッチは間違いない気がする、て思います。俎上の人は、ほっといても大丈夫だから、むしろフツーの人を見て下さい。

また、まとまりなくとりとめもなく恐縮だけど、今日はそんなふうに思いましたのでコメントさせていただきました。
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