最近読んだ本の感想

中山可穂『天使の骨』
天使の骨 (集英社文庫)
最近中山可穂について書いていたので再読。主人公は魅力的なのだが、やっぱり小説としてはつまらなかった。

佐野眞一『東電OL殺人事件』
東電OL殺人事件 (新潮文庫)
ルポタージュ(といっていいのかな)。非常に独りよがりでダメな本。もーっ、ほんと、ダメすぎ。

斉藤美奈子『紅一点論』
紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)

評論。これは面白い。この本が、というより、この作者が素晴らしい。この本については長くなりそうなので、改めて書きます。

篠田節子『アクアリウム』
アクアリウム (新潮文庫)

小説。おもろかった。ミステリー、ホラー、そして社会派を混ぜたような作風。篠田節子はうまいね~!芸風広いね~!彼女の面白さは信用できます。安心して物語世界に身を委ねられます。手塚治虫の「火の鳥・未来篇」に幻覚を見せてくれる「ムーピー」というキャラクターが出てきたが(実際はどろどろのアメーバのようなのだが、何にでも形を変えられ、幻覚を見せてくれる生き物)、それを思い出した。そういや火の鳥の中でも、主人公の名前はマサトだったな。ああゆう、正人とイクティ(もしくはマサトとタマミ)みたいな関係に、結構私は憧れます。

川上弘美『物語が、始まる 』
物語が、始まる (中公文庫)
短編集。ふうむ。なかなか。特に表題作は面白い。ミシェル・ゴンドリー監督が演出したらよさそう。芥川賞受賞作『蛇を踏む』でも感じたが、日常と幻想がシームレスにつながる感じが作者の持ち味ですなあ。だが、純文学って感じだ。学生時代は純文学をよく読んでいたが、社会人になり、エンタメ&ノウハウ本に犯された私の脳は、彼女の作品世界に入り込むのにちょいと苦労する。頭が疲れるので、素直に「超面白い!」とは言えないんですな。4つの短編が収録されているのだが、最後の作品は疲れすぎて、読めなかった。短編なのに読めないっていったいどんだけバカなんだ。今度また挑戦します。

市川拓司の本の何か。なんかとてつもない嫌悪感が襲ってきて、本を閉じました。と、同時に、昔、『ノルウェイの森』を「軽薄」「陳腐」と批判した大人たちのことを思い出した。私自身も、実は『ノルウェイの森』は好きではない(というか、むしろ嫌い)なのだが、村上春樹の他の小説が大好きなので、『ノルウェイの森』をもって、村上春樹自身を「ダメな作家」とするような論調にはたえがたいし、『ノルウェイの森』の嫌いなところもむしろそんなに考えないようにしていた。だが、市川拓司の本を読んで感じたこの“生理的に受け付けない感”は、かつて村上春樹のベストセラー『ノルウェイの森』に対して、おそらくは年代が上の大人たちが抱いたであろう気持ちと似ているのだろうか?と恐ろしく感じた。市川拓司のこの本を読んで、彼の作品に心酔する層が存在するのだろうか?というか、絶対するんだろうな。そしてその絶対量はかなり多い!(んでしょ?ベストセラーなんだから!)そして、もっというと、むしろ、『ノルウェイの森』を好きな層と、市川拓司(でも片山恭一でもいいのだが)を好きな層はかぶっている可能性がかなり高い。とか思った。おえ~ぷ。

でも、市川拓司の主人公だったら「ぼくは純愛」「好きな人と以外はセックスできない」ってキレイで純粋なボクちゃんをアピールして終わりかもしれないけど、村上春樹の主人公だったら「ぼくの体の一部がぼくの気持ちとは関係なく反応してしまっていることに気づいた。彼女もぼくもそれに気づかないふりをしようとしたけれど、それはあまりにも圧倒的で否定することのできない反応(中略)「ねえ、すごく固くなってる」と彼女はくすくす笑いながら言った。「知ってる」…(後略)なんていって行きずりの女の子もしくは友達(つまりは、「好きじゃない女の子」)とのセックスに及ぶことは十分考えられる。

って、このセックスの話は想像で書いてますし、実際に彼らの作品にそういう描写が出て来る出てこないっていう話をしているわけではない。「一見キレイで美しくみえる幻想/あんたの願望/思い込み」を越えた何かを表現しようとしているか、っていう表現姿勢に対するメタファーです。

音楽でも、文学でも、絵画でも、人の好みはそれぞれで、多くの人に評価されているというのはそれはそれで一つの価値だ。売れるものは素晴らしい。だからそれ自体を否定するつもりはない。だが、それを自分がちっとも理解できないとき、何とも言えない不思議な感覚を覚えるんですな。感性的にマイノリティなのだろうか?とか。そんで、売れてるものについては非常に叩いてみたくなる。皆、本当はどう思ってるの?私は本当にマイノリティなのだろうか?って。まあ気が向いたらまた読んでみるかもしれないし読まないかもしれない。てか多分読まない。

金城一紀『GO』
GO
小説。結構よかった。この作品も若者の純愛モノといえばそうなのだが、もっとリアルに感じた。主人公かっこええな。映画もみたい!←話題が古くてすみません。

大道珠貴『しょっぱいドライブ』
しょっぱいドライブ (文春文庫 (た58-2))
短編集。うーん。才能はあるのかもしれないが、好きじゃないなあ。好きでもない他人の足の爪の垢の匂いをかがされてる感じ。もしくは他人の汗で固めた垢だんごを喰え喰えと目の前に持ってこられる感じというか。とにかく、人が日常に顔を背けたくなるような微妙な感情や気まずい瞬間を捉えることがうまい。読者にとしては、生理的な嫌悪感を抱くと思うのだが、それはそれで「真実」を捉えているからだと思う。(そういう意味でセンチメンタルでチープで思い入れたっぷりで自己陶酔的で甘ったるくて嘘くさい純愛小説よりは全然好感が持てる)このひねくれた、というか、意地悪な視点は、コラムや評論にいかせるのでは?

私は大道珠貴の芥川賞受賞の時に、なぜか「川上弘美に似てる」という印象を持ってしまっていたのだが、今回しっかり読んで全然違うじゃんと思った。

島本理生『ナラタージュ』これはまだ読み途中。いろいろ考えることはありますが、読み終えたら書きます。結構長い小説ですが、最後まで読めそうです。

最近今まで読んだことない作家を読むことを心がけており、上の本も、中山可穂と篠田節子以外は、全て初めてちゃんと読んだ作家です。

まだ読んだことなくて読んでみたいのは、笙野頼子です。よく薦められるので、期待してます。
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