深い深い井戸の底から

昔昔のお話です。深い井戸がありました。
少年はそこに、小石を投げ込むのが好きでした。小石を投げ込んだ後、覗き込むのですが、その井戸はあまりにも深いので、「ぽちゃん」という音が聞こえない。

ーこの小石は、果たして、井戸の底に届いているのだろうか?ー

少年は、不思議に思いました。

「ぽちゃん」という音が聞こえるまで、次から次へと小石を投げ込んでみたり、少し大きなものを投げ込んでみたり、おーい!と叫んでみたり、懐中電灯で照らしてみたり、いろいろなことを試しました。。

けれど、井戸からは何も聞こえないし何も見えない。暗く丸い穴がぽっかりと口をあけているだけだったのです。

ーこの井戸には、底というものがあるのだろうか?もしかしたら、ブラックホールだったりして…?ー

あげくの果てに、自分が井戸の中にちょっと降りてみようかとも考えました。

ーでも、万一、足をすべらせて落ちてしまったら?…二度と這い上がれない!ー

そんな危険なことは臆病者の少年にはできなかったのです。

そんなある日、少年はいいことを思いつきました。

ーそうだ、石を投げ込むんじゃなくて、釣り糸ををたらしてみようー


少年は釣り糸のさきっちょに小エビをくくりつけて、井戸にたらしてみました。待つこと一時間。釣り竿を持ち上げてみると、そこには、美しい人魚がしがみついていました。

人魚はこの世のものとは思えない美貌の持ち主で、うっとりするような香しい匂いに包まれていました。人魚が少年に微笑みかけた瞬間、下腹部で蝶々が一斉に羽ばたきだしたような心持ちになったのです。

「(…ごくっ)に、人魚って…井戸に住んでたの…?」

「そうよ…知らなかった?」

人魚は当然のように答え、「でも井戸の外にいられるのは、十分間だけなの」とつけくわえました。

「十分間…」

気づくと十分間が経っていました。

「ごめんなさい。もう、戻らなくては…。わたくしのこと…戻してくださる?」

少年は頷いて、人魚を釣り竿の先にくくりつけ、彼女を井戸の中に戻しました。

その夜は眠れませんでした。

ーあんなに美しいひとが、この世に存在するなんて!ー

何度も寝返りをうち、目を強く閉じ、眠ろう、眠ろうとしても、あの人魚の魅惑的な微笑が脳裏に浮かび、胸が熱くなるのです。

翌日から、少年は前にもまして井戸通いを熱心にするようになりました。

朝起きれば井戸を覗き込み、仕事から帰れば井戸に直行。井戸の側で食事をとり、井戸に向かって話しかけ、井戸を見つめてはその中にいる人魚に思いをはせました。

「あんた、井戸に取り付かれたようになってるけど…大丈夫?」

家族や友達が怪訝な顔をしても、少年は気にしませんでした。少年は井戸に行く時は、誰にも見られないように、一人で行くようにしました。

人魚との逢い引きは、少年と人魚だけの秘密。

人魚は一日に十分以上井戸の外にいることはできません。だから二人の逢瀬はいつも慌ただしくいつも物足りないものでした。

ある日、人魚が言いました。

「ねえ…もっとゆっくりと二人ですごしたい。そう思ったことはない?」

少年は、動悸がはげしくなるのを懸命にこらえながら答えました。

「うん。いつも思ってるよ。ぼく…十分間以上過ごせたら、どんなに幸せかって」

すると人魚はとろけるような笑みを浮かべて言うのです。

「ねえ、井戸の中に遊びにきてみない?そこで、私たち、もっと楽しいことを、もっとずっとできると思うの」

少年は、何か言おうと思ったけれど、口のなかがからからで、何も言葉がでないのです。

人魚は「今度までに、考えておいてね」と微笑むと、釣りばりの先につかまって、井戸にもどっていきました。

その時から少年は、井戸の中に入る空想がとめられなくなりました。

井戸の中にはいったら、どんな素敵なことが待ち受けているのだろう?

それを想像すると、頭がおかしくなりそうでした。でも、同時にそれは恐ろしく危険な行為なのだと、頭のどこかで何かが強く訴えかけていました。

少年はどうすればいいのかわかりませんでした。

一睡もせずに考え、考え、考え、ついに人魚と約束した夜あけがやってきました。少年は、いつものように、井戸の横に立ちました。井戸はいつものように、丸く深い暗闇をたたえていました。それはかつては得体の知れないものであり、おそれの対象でした。

ーでも今はもう怖くない。ぼくは、この井戸に人魚がいることを知っている。ぼくを愛して、ぼくのことを待ってくれている、ぼくだけの美しい人魚…待っててー

少年は大きな深呼吸をすると、ゆっくりと井戸の中におりていきました。

☆ ☆ ☆

先日のエントリに答えて、リンクなどしてくださった皆様、ありがとうございました。嬉しかったです。ていうか、まじで感動した。愛してます。

(相互リンクは今から全て貼りますので少々お待ち下さい)

ブログを書くというのは、深い井戸に石を投げ込むことに似ている、と以前から思っていました。

おそらく、自分のエントリを書き終えたあと、深い井戸に石を投げ込んだような気分になるブロガーは結構いるんじゃないだろうか?耳を澄まして、「ちゃぽん」という音が、小さくでもいい、聞こえると、そこでほっとする。もしも「ちゃぽん」という音が全くしなかったら、ブロガーはきっと…などと考えながらお話を書き始めました。(後半はまったくブログとは関係ないです)

でもって、まだリンクをしてくれていないあなたにお願いです。
是非、私のブログにリンクしてください。
よろしくお願い致します。
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comment

あぁ、 なんか 今なら それが よくわかる…
ゆうちゃん! 先月のPRIDEの時に なんとなく想ったことを 書いたのだけど、そこに ゆうちゃんのblog紹介したのね?
もっと目立つように フォントの色変えて見ました(^-^) yumeのblogに 書いても 影響力は 期待できないと思うけど、ちっちゃなことですが してみました♪
誰かの目に いつかとまること 祈って。

2話 楽しみにしてます♪
初めまして。
私のブログの方にリンクを貼らせていただきました。
私のブログでは、あまりセクシャリティな内容を扱っていないので不安なのですが。
よろしくお願いします。

http://book-of-days.jugem.jp/
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