父親の話 3 -「気持ちよさ」と「正しさ」-

父親の話 1
父親の話 2

の続きです。
父親への激しい失望が収まった後も、ずっと考えてきた。

人は何よって政治的立ち位置を変えるのか?
極端な変節はなぜ起きるのか?

その答えを構成する、一つのピースが見つかった気がして、最近ブログに書いた

人がどういう言説に対して共感を覚え支持するのかは「言説自体の正しさや説得力によって」というよりも、「受け取る側の知性や幸福度などによって」分かりやすく言うと「受け取る側にとってその言説がどの程度『気持ちいい』かどうか」によって決まる場合が多いんじゃないか、っていうことだ。

もちろん「正しさ」で決めている人もいるだろうし、またこの二つは密接に絡み合っていて、完全に分けることなんてできないかもしれないし、実際には両者のバランスでみんな決めてるとは思うが…実際には「気持ちよさ」ってのがかなり大きな要素を占めているんじゃないかと思った。

ある種類の言説は、その内容が「正しいから」によってというよりも、それが「気持ちいいから」という理由によって、熱狂的な支持を受ける。

「なんか言葉にできないけどムカつく!」っていう不満を、代弁してわかりやすい敵をつくって批判してみせたり、「表立って言いたいけど言えない」と多くの人が考えている抑圧的なセリフをどうどうと言い放つ時などに、それを支持する人たちを観察しているとよくわかる。頭では「これって政治的には正しくないかもね」って分かってると思うのだが、「正直賛成です。よくぞ言った!」みたいな。


結局私の父親がかつてリベラルなように見えたのは、それは彼がリベラルな思想を本当に理解して信じていたのではなく、単にリベラルであることが彼を気持ちよくするのに好都合だっただけなのだ。でも、現在、彼を気持ちよくしてくれるのは、保守になってしまった。ただ、それだけのことなのだと。

「彼が求めていたのは、自分にとっての正義ではなく、自分の気持ちよさだったんだ」

そう解釈すると、彼の極端な変節がとっても腑に落ちた。

☆ ☆ ☆

ここで、「気持ちよさって人に訴えかけるのに重要な役割を果たしますよ~」ってことを書きつつも、私はこういう「気持ちよさ」を皆が主な判断基準として動いてる社会、ってのは、危険だと思ってるし、自分も「気持ちよさ」だけで何かを判断したくない。

もちろん私自身、このような力学から完全には無縁ではないだろう。自分では、個々の政策に対して冷静に判断しているつもりだが、実際は無意識に「私が幸せになる政策」を選んでいるだけなのかもしれない。将来私が、何かトンでもない主張を、「気持ちよく」感じてうっかり支持してしまう可能性はあるかもしれない。

でも、そうなりたくはない。時に「気持ちよくない」と感じても、自分が「正しい」と信じるプリンシプルを信じ続けなければいけないと信じているし、将来いくら頭が固くなって、金もたまって、興味の幅が狭くなって、守るものがいっぱいできたとしても…理性を保つことで、そういう「気持ちいい」方向にぐだぐだ流れることを防ぐことは可能だと思っている。

☆ ☆ ☆

少し話がズレました。

父親の話 4 に続きます。
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  • 2009/06/10
通りすがり
気持ちよさ、という言葉、凄く納得しました
ゆうさんのいう気持ちよさとは若干違いますが
反体制も愛国主義もどちらも強い主張をするのは気持ちよいものです(大きいことを言ってるとなんだかね…)
本物の気骨ある思想の持ち主はそんな気持ちよさとは無縁の苦悩の人生を送っているのでしょう…
(考え無さすぎなのか洗脳なのか、極端過ぎる人もそれはそれで大変な人生を歩むことはありますね)
転向は世界の流れもありますね
左翼から保守派への転向者は世界中で何千万人といるだろうけど
その逆は極めて珍しい、と聞きます(調べた訳じゃないけど何と無くわかります)
お父さんは小林よしのりを読んでるということだから
小林よしのりの転向者に対する批判、転向者を許す基準?みたいなのに照らし合わせて
反省してるのかもしれない
余談ですが、保守の人間の家族にゲイがいるって良いことだと思います
カミングアウトの話題でゆうさんも仰っていましたが
こういうことを自分の問題として考えられる環境は、私も重要だと思います
特に保守派は男女主義に陥りがちなので(ゆうさんのお父さんはそこの所は柔軟で素敵ですね)
頑固な保守派の子供が全員LGBTIになればいい…なんてのはさすがに冗談
  • 2009/10/23
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