オバマ政権と同性婚のビミョーな関係

The Justice Department(司法省)は、先週木曜日(11日)カリフォルニアの同性婚カップルによるDefense of Marriage Act(DOMA)に対する訴えを却下した。管轄権がないのが直接の理由だが、一言で言うと「連邦レベルでの同性婚の禁止はオッケー」ということをオバマ政権が公式に認めたことになる。(参考記事
司法省広報は「オバマ大統領自身は同性カップルを平等に扱わないDOMAが覆されることを望んでいるが、国会が自らこの法律を覆すと決めるまでは、法務省はこの法律を守ります」と説明している。

オバマ大統領は選挙期間中は、明確にDOMAに反対して、同性愛者達の票を集めようとしていた。司法省がDOMAを公式にサポートしたことで、多くの同性婚推進派の団体は遺憾の意を表明し、民主党のゲイ向けの資金集めイベントDNCをボイコットする動きなどが広まっていた。(参考:HRCプレジデントのJoe Solmoneseがオバマに送った公開書簡

有力な国会議員でオープンなゲイのBarney Frankもこの司法省の判断は「大きなミス」だと語り、「司法省の言葉遣いは不適切であるし、オバマ大統領自身が、これは彼自身の考えではないとはっきり表明してくれることを願っている」と言う*1。他にも、オープンなゲイの議員であるTammy Baldwin、Jared Polisなどが遺憾の意を表明している。(参考記事

18日追記*1バーニー・フランクは、その後見解を撤回。実際に書類を読んだ後は考えを改めたということ

そんな感じで、オバマどうよ?的雰囲気がゲイコミュニティにもんもんとたまっていた今週水曜日(17日)、オバマ政権は、連邦職員(国家公務員)の同性パートナーに、いくつかの福利厚生を認めることを発表した。

米メディアは17日、オバマ大統領が連邦政府職員の同性愛カップルに対する手当を拡充する方針を同日中に発表すると一斉に報じた。保守色が強かったブッシュ前政権から転換する姿勢が一層鮮明になる。

 中道路線への移行が目立つオバマ政権に対し、同性愛関係の有力団体から反発が強まっていたことに配慮した側面もあるとみられている。

 報道によると、公表される手当の内容は複数に及ぶものの、完全な健康保険の適用などは見送られる。

 米国務省は既に同性愛の外交官のパートナーに対する外交官パスポートや語学研修の提供を表明。また、3月には同性愛者や性同一性障害者らに対する差別などの人権侵害根絶を世界に呼びかけた昨年12月の国連宣言に賛同することを明らかにしている。(共同)

http://sankei.jp.msn.com/world/america/090618/amr0906180016000-n1.htm



飴とムチきたー!!あくまで一部のものであり、完全に配偶者と同等の福利厚生ではないが、一歩前進といったところか。

また、明るいニュースはもう一つあって、US State Departmentが、方針を変更し、同性婚カップルに新しい名字でのパスポートを交付するということにした。これまで、DOMAを理由に、新しい名字でのパスポートの交付を拒否してきたが、裁判の結果ポリシーが変更になった。パスポートの名前自体は小さいことだが、DOMAがらみで初めて前進したということでかなり喜ばれているようだ。(参考記事

★ ★ ★

てな感じで、この微妙な舵取り、たまらんね~!

State Departmentの方針変更がどの程度政治的な判断の結果かはわからないが、連邦職員の福利厚生の件は、明らかに政治的な判断で今こうなったのねって感じ。バランスを取ってるんだろう。大統領も大変だねー。

前もちょろっと書きましたが、選挙の時かなりゲイフレンドリーなことを言っていましたオバマ大統領は、実際政権についてからは、まったくゲイフレンドリーな政策を実行に移しておらず、むしろホワイトハウスの政策欄からゲイ関連のものをごっそり削除するなどしていたので、ゲイ団体などを中心に批判が徐々に出てきていた。DOMAもそうだし、Don't Ask, Don't Tellポリシー(DADT)も撤回しておらず、オバマ就任後も何人もが同性愛を理由に軍隊をクビになっている

Unfriendly Fire: How the Gay Ban Undermines the Military and Weakens America

オバマ大統領は「DOMAにしろDADTにしろ法律を覆すためには国会が決定することが必要」という。確かにそれは当然の原則論だ。が、大統領の権限をもってして、一旦その法律を差し止めて、数ヶ月後改めて国会の審議にかけることができるだろう!というのがオバマ批判派の言い分。特にDADTについては、一人の人間が解雇されるかされないかという、かなりタイムセンシティブな問題なので、オバマ大統領が一声かけることでかなり大きい影響がでると思うのだが、オバマ大統領はずっとそれをすることを避けている。

もちろん、選挙時には、予想していなかった経済危機の到来、健康保険改革や、BIG3の救済などその他にも多くの政治的問題を抱え、かなり大変な政治運営を迫られていることはわかる。

macskaさんがブログで以下のように分析しているが

 黒人でなくても、民主党の議員の大半は同性婚実現の必要性を全面的に理解している。それを口に出せないのは有権者のバックラッシュが恐ろしいから。クリントンが1993年に大統領に就任した直後、同性愛者が軍隊に参加することを認める決定を下したところ、いきなり物凄いバッシングにあって初速をほとんど失ってしまったことがトラウマになっている。

(中略)

オバマ大統領も、どうせ放っておいても近い将来に実現するような問題に限られたポリティカル・キャピタル(政治的資本)を浪費するのではなく、健康保険改革とか温暖化対策のように米国の将来にとって重要な難問に取り組むためにポリティカル・キャピタルを温存しておきたいから、中途半端なことしか言っていない。

http://d.hatena.ne.jp/macska/20090522/p1



これも非常に理解できる。確かに同性婚問題よりも大事なことはいっぱいある。

だから、私はオバマ大統領が今すぐDOMA撤廃、DADT撤廃、憲法による同性婚の禁止に反対のSpeak upなどをしないからといって、オバマ大統領を「ゲイの投票だけ盗む口先政治家だ!」などと責めるつもりはない。オバマ大統領がかけひきを含む複合的な政治的判断によってそういう行動をとっていることは理解するし、彼が薄汚いDISに引きずり込まれ、リーダーシップを失うことは望んでいないから。

だが、例えばDon't Ask, Don't Tellは、国防上の問題でもある(Don't Ask, Don't Tellポリシーに反したとして、アラビア語の通訳など、なかなか人材がいない分野のエキスパートや優秀なリーダーが解雇されてしまい、軍にとってマイナスだと指摘されている)。

また、ゲイ団体がオバマに対してしている批判の本質は、同性愛がどうこうということだけではなく「言ったことをしっかりやるか」という政治家としての一貫性みたいなところにある(もちろん一貫していない政治家はいっぱいいるし、所属政党を変えたりする奴もいることは百も承知!だからといってオバマもそれでいいっていうことにはならん)。

ま、オバマ大統領に限らず、政治家には常に誰かが口うるさくRemindしつづけなければいけないと思うので、私はとりあえず「オバマさーん!言ったことはやってくださいよお~」とちくちく言い続けたいと思う。

(それに今すぐ何かやらないとしても、ホワイトハウスのウェブサイトから、ゲイ関連の公約を削除したりする必要はないでしょー?それはつっこまれやすすぎですよ~)←根に持ってる。
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