チェーン・リアクション -3-

大昔に書いてたWeHo小説の続き。

第一話はこちら

第二話はこちら

▼これまでのあらすじ
知り合いたての女の子キキが、一緒にビデオを見よう!と誘ってきたよ★ときめきの予感!
キキとの電話を切り、あからさまにニコニコしながら、友達の輪に戻る。好奇心に満ちた目が向けられる。

「何?彼氏?」

「いや、違う違う。友達が迎えに来てくれるって」

「男?」

「いや、女の子。アメリカ人」

「へぇ…」

私を迎えにくるのが女の子と知るや、皆は一斉に興味を失なったように、最近日系コミュニティに顔を出さない誰かの噂話を始める。私は、相づちを打ちながらも、なんだか心の中でぽかぽかするのを感じていた。

★ ★ ★

「ごめんね?遅くなって…店の前にいるよ!」

やっと来た。

キキは現れた。

サングラスをかけて、白いBMW(これはベロニカのだ。キキは、車を持ってない!)のハンドルを握るキキ。

いつもより大人っぽく見える。ずっと年下のはずなのに…

心なしか、友達たちも、息をのんでゴージャスな彼女を見ているような気がする。

わざとゆっくりドアをあけ、助手席に座ると、キキは「やっと会えたね!」といって笑った。

あーーーーーあーーーーッ、すげー可愛い。

私は叫びたくなるのを堪えて、微笑む。

考えてみれば私たちが会うのは二度目だ。

BMWをアパートのガレージに停める。なんか豪華なアパートじゃん!と思うが、ここは、ベロニカのアパートで、キキは近くに住んでいるという。

「ここから2ブロック歩くけど、イイ?」

「いいよいいよ…てか、ベロニカは!?」

「チャイナタウンのクラブに行った。さっきまで一緒にいたんだけど」

キキは肩をすくめた。

「ついたよ、ここ」

キキのアパートメントは古い建物だったが、部屋は片付いていた。

「ルームメイトは、仕事してるから。コリアンレストランで働いてるの」

「何か、飲む?」

「う、うん…」

「はい」

キキは、氷をいれた水のコップを手渡してくれた。テキパキとテレビの前にクッションを積み上げ、ビデオを見る準備を整える。

「トトロでいい…?」

いいよ。

トトロを観た。

キキのビデオコレクションには、トトロ以外にも、ほぼ全ての宮崎作品が揃っているようだった。

「キキは、ミヤザキが好きなの?」

「うん。好き。アートワークが好き」

そっか…。いいよね。私も好き好き好き。ミヤザキ好き。ミヤザキのフィルムにいつも出てくるおなじみのモチーフ、自然、飛行船、船、おばあさん、淡い恋心…もっともっと好きな映画は他にもあるはずなのに、私は頭をフル回転させて、ミヤザキについて知ってることのすべてを思い出そうとする。じゃあさ、ゆう、オヅは?私は少し頭をかしげて、口を開くが、何を言うべきかちっとも思い浮かばない。たぶんキキの方が日本映画については詳しい。

突然二人の間に沈黙が訪れる。決して気まずいわけではなく、心地よい沈黙。突然招かれ家にまで上がり込んでしまったが、私はキキ自身のことを何も知らないことを思い出した。

「そういえばさ、キキってどこ出身なの?」

「私はアメリカ生まれだけど…お母さんはベネズエラ人。お父さんはアメリカ人。で、生まれてベネズエラいって、そこで10歳まで育った」

へえ~。なるほど。

(だから優しいんだな)と思った。

勝手な印象かもしれないけど、アメリカで生まれ育った子は往々にして、外国人に優しくない。特に家族に英語が片言の人がいない子は平気でべらべらまくしたてて、こちらが英語で文章を作るのを待ってくれない。キキは優しい。キキとは、会話が成立する。

「でも、10歳になった時、お父さんのところに引っ越したの。それからLAに引っ越して来て、学校に行った」

ふうん。

(10歳まで外国いたから、英語がすこしなまってるんだな)私は納得する。

「今学校行ってるんだっけ?」

「そう、アートセンターで、デザイン勉強してる。アニメ作りたいんだ。ミヤザキみたいなね!…ゆうは?どこ出身?」

「私は日本生まれ、日本育ちだよ」

「日本のどこ?」

「札幌。サッポロビールの、サッポロ。日本のさ、北にある島だよ」

「ふうん」

キキは首を傾げた。

「雪ふる?」

「…ふるよ。ふりまくり。サッポロでは、雪フェスティバルがあるんだよ。氷でねスタチューを作るの」

「見たいなぁ雪…」

「えっ、キキ雪見たことないの?」

「ないよ…。雪は映画でしかない。私は太陽の子だもん!」

そういって、思いっきり笑うキキが可愛くて一瞬何もかも忘れてしまう。

「本物の雪、いいよ。キレイだよ。サッポロにくれば。見れるよ」

「ほんと?ゆう、連れてってくれる?」

「うん」

「約束?」

「約束だよ」

キキは指を差し出した。
細い指。
私は胸が締め付けられそうになりながら、指を絡めた。

-続く-

※これ、主人公の名前を「ゆう」にして書き始めてしまったので分かりづらいんですが、あくまで小説でありフィクションです。実在の人物とか団体とかとは関係ないので、そこんとこくれぐれもよろしく…。
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  • 2009/09/08
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