「LGBTアクティビズムは白人どもにくれてやる」 ー“元”ゲイアクティビズトの手記

10月11日の日曜日は、ワシントンDCにてナショナル平等マーチが行われ、平等の実現を訴える活動家が集まる予定だ。各種イベントが行われ一見プライドのような感じだが、首都ワシントンDCにおいてアメリカ全体における「平等」を訴え、直接国会に働きかけるのが目的のより政治的なイベントである。

ハーヴィー・ミルクの「後継者」クリーブ・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、アラン・カミングズなどのセレブが登場するほか、同性愛者向けケーブル局のLOGOは、このイベントへの支持を示し、トピックが重要であることを示すため数時間放映を見合わせる。また、マーチの前日にはオバマ大統領が全米最大のLGBT団体であるHuman Rights Campaignのディナーの場において、基調講演をする予定である。

そんな感じで盛り上がっているLGBT業界だが、人種問題をめぐって内紛も起きている。ここでは、マーチ直前に「LGBTムーブメント」からの離脱を表明したある「元」活動家Nakhone Keodaraの記事「The Whites Can Have LGBT Activism. I Quit!」を紹介する。
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「LGBTアクティビズムは白人どもにくれてやる。俺はもういい!」

白人のLGBTコミュニティには理解できないだろう。彼らは、単に差別のこととなると「差別は差別」だと信じ込んでる。説明しよう。この前、とあるLGBTサイトにて「我々自身のもっとも酷い敵」という見出しの下に自分の名前を見つけて、俺はびっくりした。(ちなみに今、俺がこの文章を書いてるサイトQueertyも敵として名前が挙がってるw)

これは、自分の団体Gays United Networkが(カリフォルニアにおけるProp 8を覆す為の)2010年の住民投票を支持していたのを撤回して、2012年の住民投票を支持するという内容のプレスリリースに反応して書かれたものだ。Bilerico.comのライター、フィル・リース(Phil Reese)が書いている。

ミスター・リースが「昨日Towleroadが、ナショナル平等マーチへのAリスト支持者たちを発表した」と記事を書きはじめてるのは興味深い。この「Aリスト」とやらを見てみると、白人ばっかりなんだ。がっかりするけど本当のことだ。だから、有色人種のノンケ社会は「LGBTコミュニティの市民権獲得のための闘い」を、白人の利益になるようなムーブメントとして見ているのも根拠がないわけじゃないんだ。

俺は、フィルの書いた記事のコメント欄に反論を書き込んだ。もちろん彼のお友達がフィルを助けにやってきて、俺にこう反論した。

「誰がもっと差別されているとか、こっちの方が差別されているとか比べるなんて想像もできない。君が差別されて傷ついたのと全く同じように、僕だって同じように差別されれば傷ついている。それが同じだということがなぜわからないんだろう。もちろん、人種は大きな課題だし、毎日それに関しての事件が起きている。でも本質的には、僕たちは同じゴールに向って闘っているのだから、味方同士であるはずのこちら側で闘って時間を無駄にすることはやめなければいけない」

今なら、なぜ多くの有色人種のLGBTアクティビストが、ちゃぶ台をひっくり返し「勝手にしろ。俺は降りる」と言い放って来たのか理解できる。今なら、なぜ権利を奪われているはずの人々がもっとLGBTムーブメントに参加しようとしないのか理解できる。LGBTコミュニティの中で、有色人種としての立場から、声をあげようと努力して来た多くの人々は、その声に十分耳を傾けられないことや、無視されたり、おとしめられることに不満を覚えているんだ。白人たちが自らの「白人に生まれた特権」のせいで、LGBTコミュニティの中ですら有色人種が直面している差別について共感をすることができなくなってるってことを、いくら説明しても彼ら自身が理解することはないだろうし、いくら話しても無駄なような気が、今俺はしている。

彼らは、マジで、彼ら自身がゲイ差別で苦しんだ経験のおかげで、有色人種が肌の色のせいで差別される痛みが理解できると思ってるんだ。彼らは、彼らと同じようにセクシャルマイノリティである有色人種が、二重に面倒くさい状況に置かれながらLGBTコミュニティの中でさえ抑圧されているという困難さを完全に無視している。「ボクたちは、皆同じ闘いを闘っているし、この闘いは結果的にあなたの為にもなるのだということを理解するべきです」とか単純に言ってしまえるのって全く驚くほかない。俺たちが現状に異議申し立てをする時、「なんでそんなにけんか腰なの」とか「あなたの態度は不機嫌で、プロフェッショナルでない」とか言っちゃえるのって、いかにも「白人」の言い分って感じだ。これが、LGBTコミュニティ内部で抑圧され周辺化されている俺たちにおこることなのだ。俺たちは、白人の分厚い頭蓋骨の向こうまで声が届くように、必死で叫ぶしかないのだ。

(中略)

まあそんなわけで、俺は、LGBTムーブメントから手を引こうとしている。なぜなら、俺はもう平等のための闘いを信じていないからだ。Gays United Networkのディレクター職ももうやめるし、誰も後を引き継がないのなら、団体も解散するだろう。メイン州でボランティアするためにとっていた休暇も取消す。もう本当に終わりだ。

去年の11月、Join the Impactの創設者Amy Balliettの呼びかけに応える形でアクティビズムに足を踏み入れた時、俺は「変化」を起こしたかった。そして、活動をするなかで、まずその「変化」はLGBTコミュニティ内部でおこるべきだということに気づいた。

俺はこのリングにタオルを投げ込む。なぜなら俺は自分がコミュニティに内部で「変化」をおこせるとは思わないからだ。真っ白い「LGBTコミュニティ」は、有色人種の言うことなんぞにちっとも耳を傾けないし、結果がどうあれ自分たちにとって心地いいことをやりつづけるだろうから。

ナショナル平等マーチは、結局白人のLGBTのものになってしまったし、俺はこれを支持できないし、支持しない。繰り返しになるが、このマーチは、これまでの多くのイベントと同じように結局これは白人だけの問題でしょ、ってアメリカ中から思われるようなイベントになるだろう。参加者のほとんどは白人だろう。白人くらいしか、わざわざワシントンDCに行ってマーチに参加する金銭的余裕のあるやつはいないから当然のことだ。俺は正式にこのマーチは間違っていると宣言する。白人のLGBTコミュニティは、ご自分たちだけで平等に向って闘ってほしいものである。幸運を祈る。

http://www.queerty.com/the-whites-can-have-lgbt-activism-i-quit-20091002



この記事に対しては300を超えるコメントがつけられている。全体的には彼に対して厳しいコメントが多いが、中には「気持ちはわかる」という意見や「ついでに言うならLGBTコミュニティが内部で克服しなければいけない問題としてミソジニーもつけくわえてほしいです」というコメントなどもある。「LGBTコミュニティはカリフォルニア中心的すぎてうんざり」とか「LGBTLGBTっつってもほとんどG(ゲイ)とL(レズビアン)だけじゃねーか。どれだけのLGが、BだのTだのIだのQの権利について闘っているんだ?」という意見なんかもある。

長々訳しておいてなんだが、私は実際には彼の論調に全て賛成はしないし、元々の論争のネタになったプレスリリースも、必要以上に白人団体に対して攻撃的であり、2010年の住民投票を支持している団体に対してオフェンシブであると感じた。また、彼が本当に運動をクィットすることでLGBTムーブメントへの批判としようとしてるなら、そんな戦略は全く支持できない。だがこのごたごたぶりがちょっと面白いと思い今回紹介した。

アメリカゲイリブっていっても全然一枚岩じゃなく一緒くたにはできないことがよくわかる。実際には、今回のナショナル平等マーチは、アジア人であるダーン・チョーイをはじめ有色人種で支持を表明している人も複数いる。そんなわけで、記事としてはいろいろつっこみどころのある記事ではあるのだが、だが彼が今回ここで指摘した問題は結構重要であり、私もProp 8以降に気づいたのだが、アメリカにおけるLGBTムーブメントの問題点として繰り返し語られている気がする。Prop 8がきっかけでより露になったLGBTコミュニティ内の人種差別に絶望し、LGBTムーブメントを「クイット」した有色人種のアクティビストは彼1人ではない。日本におけるLGBTムーブメントにおいては「人種」はそれほどのイシューではないと思うが、「コミュニティ内部の権力関係」という意味では似たような構図が存在しうるし、決して他人事ではないとおもった。
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Re: 「LGBTアクティビズムは白人どもにくれてやる」 ー“元”ゲイアクティビズトの手記
・ゲイリブは都合の悪い話題になると話のすり替えを試みる
 ゲイリブは世間に超少数派だと気づかれると、
  あたかもゲイの総意かのように偽装するために
  「ゲイアクティビスト」など偽称をでっちあげ偽装する。

  • 2009/11/03
  • ホモ行列
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