面白かったグラフィック・ノベル『The Alcoholic』

よく「漫画しか読めない」とか「長い文章を読めない」という人がいるが、英語に関しては私はそれである。私にとって英語で文章を読むのは非常に骨の折れる作業であり、口頭でわかりやすく説明してもらったり、漫画形式とか「サルでもわかる!図解で簡単」形式にしてもらわないとよくわからない。

グラフィック・ノベルはそんな私のためにピッタリの本である。ぱっと見は「漫画」なのだが、いわゆるアメコミ(X-menとかBATMAN)ほど内容がアクション一辺倒というわけではなく、結構「文学」よりの作品が多い。日本で言う「劇画」とか、「イラスト入り小説」に近いのかな。

ゴースト・ワールドとか。

GHOST WORLD 日本語版
GHOST WORLD 日本語版
posted with amazlet at 09.10.12
ダニエル・クロウズ
PRESSPOP GALLERY
おすすめ度の平均: 5.0
5 今時な女の子のビターな青春物語
5 この世それはゴーストの世界


そんなグラフィック・ノベルで面白いのを読んだので紹介。

The AlcoholicThe Alcoholic: Jonathan Ames, Dean Haspiel

恥ずかしながら超気合いをいれないと子供用の薄い本も最後まで読み通せない私だが、とりあえず「大人向け」でありながら最後までさくさく読めたのは、これがグラフィック・ノベル(つーか漫画)形式だったこと、アルコール依存、麻薬依存、作家の生活を描いていること、フィクション仕立てではあるが、自伝的か?と思わせる仕組みがあること、そしてなにより性的に混乱している主人公の体験が赤裸々に描かれているからだろう。

まー、つげ義春とか、太宰治ちっくなアメコミだと思ってもらえばいいかな?

主人公の「ジョナサン・A」は、高校の時から成績もよいスポーツマンだった。イェール大学を出て作家を目指し、人気探偵小説シリーズを書き、頭髪は薄いし花はでかいがそこそこ女性にもモテて、若い彼女もいたりする。だが彼は思春期から、内面に深刻な問題を抱えていた。ガールフレンドにわけのわからないふられ方をした彼は、徐々に…

って感じなのだが、これが「ゲイ」なんですわ。ゲイ、というかバイ、というのか。うーん。ゲイともバイともアイデンティファイしない、流動的なセクシャリティや、思春期に性的に興味をもった若者がバイセクシャルを“試す”描写などが興味深い。

あと、「女の子って理解できない行動とるよね!」っていうのは、これは万国共通なんだなと。

女の子に理解できないフラレ方すると、人はまじで狂う。これは女の子にふられる場合じゃなくて、友達から突然連絡がこなくなったり、「いきなりマイミク切られた」でもなんでもいいのだが、相手が何を考えてるのか、自分が理解できない時、人は半分狂うのだと思った。これは私だけじゃなくて誰でもそうでしょう。そのシチュエーションを初めは受け入れられなくて、否定するが、そのうち自分でも否定しきれないほどそれが明確になると、次は自分なりに説明をつけて、その事実を飲み込もうとする。「いやいや、照れてるだけなんだ」「かけひきしてるんだ♪」「うーん。実は私のことはタイプじゃなかったのに酔っ払ってたのかな」とかね。その解釈が現実とずれているとしても、とにかくなんでもいいので、自分が納得できる解釈がないと、ダメなんだと思う。

主人公はとにかく弱くていろんなものに依存するタイプの人間なのだが、読んでいて身につまされる感じだった。というわけで、題名のわりにはピンポイントでアルコール依存症についての話というわけではなかったのだが、面白かった。こういう本は結構好き。
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