オバマのDADT撤廃宣言と、国家が多様なセクシャリティを「認める」ということ

先週末ワシントンDCで行なわれた大掛かりな平等マーチは成功した模様(写真はこちら)。また同じ週末に行なわれたヒューマン・ライツ・キャンペーンのディナーの席上で、オバマ大統領はDon't Ask, Don't Tell(聞かざる言わざる政策」w)を初めとするLGBT差別を撤廃する意思を宣言した。


米大統領、同性愛者差別解消への取り組み明言

ワシントン(CNN) オバマ米大統領は10日夜、国内最大の同性愛者の権利擁護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」の夕食会で演説し、選挙運動中の公約に掲げながら棚上げされているとの意見が一部から出ている同性愛者の差別解消に取り組むと明言した。

オバマ大統領は演説で、同団体の30年近い活動で状況改善への進展が見られるものの「改正が必要な法律は依然残っている」と指摘。そのうえで「わたしは皆さんとともに戦う」と明言し、出席者らから大きな喝采を浴びた。

大統領はまた、同性愛者の入隊を原則的に禁止している米軍の規制撤廃を求めた。米軍は現在、性的志向を明らかにしない同性愛者に限って入隊を認める「聞かざる言わざる政策」を採用している。大統領は、愛国心から米軍入隊を志願した国民を処罰してはならないと述べ、米国防省や上下両院の上層部と連携し、問題解決を図っていることを明らかにした。

大統領はこのほか、同性愛者のカップルに結婚した夫婦と同じ権利を付与することを支持する姿勢を表明。憎悪犯罪の定義に同性愛者や性同一障害者に対する攻撃を含める法案が先日下院を通過し、自身が法案を承認する意向であることも明らかにした。

同団体は「米大統領の全面的な支持と取り組みを感じた歴史的な夜だった」と、オバマ大統領の演説を称賛する声明を発表した。

http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200910110004.html



てか意思を表明するだけなら、1年前から言ってるんだけどね~。オバマが演説上手なのはもう世界中が知っていることなので、「宣言」だけじゃなくてはやく実行に移してほしい。国会が絡むことについては、下準備などいろいろ難しいこともわかるが。具体的に私が一番不満なのは、DADTについて何もしないこともそうだし、同性婚に反対するキャンペーンにおいて、自分の肖像や発言が、同性婚禁止派のチラシなどに使われるのを黙認しているようにみえること。オバマは一応同性婚に反対派なのだが、同性婚を禁止することにも反対だったはず(ややこしい)。なので、例えば1年前のカリフォルニアではProp 8反対派、賛成派両方のチラシにオバマの肖像や引用が使われるというカオスな有様だった。今来月の住民投票に向けて闘いが繰り広げられているメイン州でどんなキャンペーンがすすんでいるか、直接はわからないが、またオバマの象徴が同性婚禁止派によって使われているのだとしたらオバマはスピークアップしてそれを止めるべきである。

ま、ちっとも動きを見せなかったオバマ大統領が改めてDADTこと聞かざる言わざる政策撤廃への意思をキープしていることを確認できたことはよいといえばよいのかな。

★ ★ ★

このオバマ大統領のDADT撤廃宣言に関連し、ついったーでtummygrrlさんによる以下のような懸念を目にしてはっとした。

That's very nice and good and all, but what will come next, is my concern. Hope it won't be "We'll ask, so you'll tell".

http://twitter.com/tummygrrl/status/4777284164



確かに…。

実際にDCのマーチの写真には、ASK and TELLというサインを掲げたものがあったが、「聞かざる言わざる政策」の撤廃には賛成だけど、「聞くから答えなさい」みたな流れには非常に嫌なものを感じます。

この気持ちは、ホモフォビックな環境じゃなくても、ゲイフレンドリーな環境においても、感じうるものです。

★ ★ ★

ちょっと話がずれますが、この前、人種に関する展示「RACE - Are We So Different?」に行って来たのですが、そこで、来年行われるセンサス(国勢調査)において、どういう形式で人種の統計を集めるのがよいかというサーベイをしていました(この展示自体は、アメリカに必要以上に広まっている『現代アメリカ人の頭にしみついている人種』という概念を解きほぐすような内容でしたが、非常に面白かったです。詳しい内容はウェブサイトを観てください)。

前回2000年のセンサスにおいては、人種の分類はこんな感じになっていました。

raceQ8.gif

かなり複雑ですね。ヒスパニックについてはもっと細かい分類があり、メキシカンですか?チカーノ(アメリカ生まれのメキシコ人)ですか?プエルトリカンですか?など非常に細かい。

センサスにおいて、この分類をキープするのか、もっとシンプルにするのか、自由回答にするのか、それとも人種に関する質問をなくすのか。というサーベイでした。

この細かい分類は、2000年のセンサスにおいて採用された物であり、昔はもっとシンプルだったようです。また、さらに昔は、「奴隷」という分類、更には、黒人の血が50%以上、25%ー50%、25%以下などにわけたものなど、歴史的に使われなくなって来た分類もありました。

これがなぜそんなに重要かというと、センサスの分類はセンサスだけではなく、公な様々な書類の上でも使われ(例えば、今カリフォルニア州の運転免許証のアプリケーションには、2000年のセンサス分類と同じような人種を申告する欄があります)、更には、人々の人種に対する意識を形作る手助けをしているので、議論になっているということでした。

こういう議論をみると、人種の概念が、いかに社会的な構築物であり、権力によって再生産され強化されていくか、ということがよくわかります。

★ ★ ★

翻って、セクシャリティの話。軍隊や国家によって「多様なセクシャリティ」や「多様なライフスタイル」が認められていくことは、素晴らしいし賛成ですが、それが結果的に国家によるセクシャリティの管理に繋がったり、センサスにセクシャリティに関する質問が出て来たりしたら絶対嫌ですね。


こんな国勢調査とか。いやだぉ。

□Heterosexual
□Gay
□Lesbian
□Bisexual
□Transgender(MtF)
□Transgender(FtM)
□Transsexual(MtF)
□Transsexual(FtM)
□Post-Op Transsexual(MtF)
□Post-Op Transsexual(FtM)
□Queer
□Genderqueer
□Questioning
□Bi-Curious
□MSM
□Lesbian Man
□Married Lesbian
□Other (Please specify)
(                            )

※これはジョークです。

が、現在のセンサスにおける人種の分類(あの珍妙とも思える質問や現在の分類も、結局、人種の多様性や1人1人のルーツを認めようという考えのもとに行なわれているものですから)をみれば、ばかばかしいことも、大真面目に行なわれる可能性も皆無ではないとか思ったり。

実際に、LGBT系の団体にサインアップしたりサーベイに答えるときは、上の分類に近いような質問をされます(別に答えたくなければ答えなくていいのですが)。普段は深く考えずにJapanese- Lesbianとチェックしている私ですが、深く考えだすとなかなか難しいものです。

ちなみに、来年のセンサスは、結婚した同性カップルが家族としてカウントされる初めてのセンサスであり、LGBT業界にとっては大きな意味を持つイベントだと捉えられています。(参考:2010 US Census to include married gay couples
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Re: オバマのDADT撤廃宣言と、国家が多様なセクシャリティを「認める」ということ
前回のアメリカのセンサスって、中東/アラブ系の人たちがいったいどこに入るのか謎でもあるんですよね。"White"なのか、それとも"Other"なのか。アジア人がやたら細かく書いてあるのの反面、いないことになってる(?)人たちってのも、なんか意味あるよなあと感じてしまいます。
  • 2009/10/14
  • yamtom
  • URL
  • Edit
Re: Re: オバマのDADT撤廃宣言と、国家が多様なセクシャリティを「認める」ということ
yamtomさん
こちらでもあらためてRACE教えてくださりありがとうございました。
アラブ系確かに。
その場では考えてませんでしたが、謎ですね…。

カリフォルニアでは、どうしても人種的多様性というと、黒人はもちろんのこと、ヒスパニックやアジア系についての話題が多いですが、真の多様性を尊重するのであれば、現在あたかも“存在しない”かのように扱われている人々についても考えなきゃですよね。てか、やっぱり今のアメリカは、911症候群から抜け出せてないのかなーとか思いました。
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