従業員は経営者のビジネスについて経営者のようには考えない

たまに、従業員に対して、(ただ指示されることを待つのではなく、)「経営者のように考え、行動する」ことを求める経営者がいる。言いたいことはよくわかる。自分でビジネスを生む従業員でなければ、会社にとってプラスではないからだ。机の前に座ってじっとしているだけで自分の給料がどこかからか生まれてくるなんていう幻想を持っている従業員を雇いたい経営者はいないだろう。

ただ、そのうえで言うが、「経営者のように考え、行動する従業員」なんていうのは、結局経営者のみるいびつな夢…全ての従業員を自営業者として雇いたい(労働組合だの、福利厚生だののめんどうから解放される!)というのにすぎない。

人が「従業員のようにしか考えない」のは、必ずしもその人の能力やモチベーションに問題があるからではなく(←もちろんそういう場合もあるし、大抵の経営者はそう考えたがる)、結局その人がそのビジネスに対して従業員としてのコミットしかしていないからである。誰しも自分のビジネスに対しては「経営者として考え、行動する」し、他人のビジネスに対しては「従業員として考え、行動する」。それは当然のことだから、それに対して文句を言うのは筋違いだ。

経営者の文句が「従業員のスキルの低さ」と「従業員が従業員としてしか考え行動しない」ことを混同しているように聞こえることがあるのよね。…社員のスキルが低いというなら、トレーニングすることを考えなきゃいけないし、社員の定着率が低いなら、待遇や福利厚生を考えて残ってもらうことを考えなきゃいけない。なんであんたらの雇用を創出するために、自分がここまで身を粉にしてやんなきゃならんのか?という経営者の気持ちは確かにわからないでもないが、経営者は経営者としての特権を手にしている以上、それに対するトレードオフは甘受すべき。ましてや有給や残業手当などの権利の行使に文句を言うのはとんでもない。従業員は確かに9時5時でしかものを考えないかもしれないが、経営者が24時間仕事のことを考えるのは自分のビジネスなのだから、当然でしょう。(従業員も自分のビジネスに対しては24時間態勢で望むだろう)それを、従業員個人個人の能力やモチベーションの問題であるかのように話すのは何か違和感を覚える。

従業員は経営者のビジネスについては経営者としての立場にはいないのだから、彼らがそのビジネスについては「従業員のように」考えるのを当然としたうえで、どう手を打つか考えるのが経営者の仕事ではないでしょうか。
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Re: 従業員は経営者のビジネスについて経営者のようには考えない
ぐうの音も出ません。
これからの自分に必要な文章でした。

  • 2012/04/16
  • PJ
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