クィアな海外ドラマ『アグリー・ベティ』

私は、テレビを見るのが面倒で、ほとんどといっていいほど見ません。が、最近テレビ番組が無料で見られるウェブサイトHULU.COMにて、いろいろ見るようになりました。今、アグリー・ベティの第4シーズンを観ています。今までちらっとしか観たことなかったのですが、面白いです。

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5 ベティ依存症
5 ベティに会いに行こう!
5 頑張ってる姿に好感が持てる
4 女性主役職業ドラマの傑作です。
5 笑える


アグリー・ベティはニューヨークに住む「ブス(アグリー)」な主人公ベティが、ひょんな経緯からファッション雑誌「モード」で働く事になるというコメディ番組。一言で説明すると、テレビ版「プラダを着た悪魔』。

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5 清清しいラストシーン
4 あの笑顔!
5 面白い
5 ただのコメディではない
4 真のプロフェッショナル



もっとも『アグリー・ベティ』はそもそもコロンビアの人気テレビドラマのリメイクで、スペイン人女優サルマ・ハヤックがプロデュースしてるなど、ヒスパニック系のテイストが加わっているところと、編集長は黒人のバネッサ・ウィリアムズが演じるなど、人種的文化的に多様になっている。また、ベティーは、いつまでたっても小太りでめがねと矯正をして微妙な服をきつづけており、『プラダ』において、アン・ハサウェイ演じる主人公が見事なメイクオーバーを遂げ「超美人になる」のとは大きく違っている。

「ブスでセンスもないけど頑張りやの主人公が幸運をつかみ、イジメにも負けないで前向きに頑張る!」というストーリーラインがウケている(ベティは、メガネや歯列矯正など、一般的に「ブス」とされるアイテムをつけている&ファッションセンスがないだけであり、実際には美人です)。

ugly_betty_3.jpgこういう「強そう」系の子、タイプだわ~!

e0108214_16164479.jpgフィアース♪

で、この主人公の一人ダニエルが、『Lの世界』のティムなのですね~!『Lの世界』ではいい男ながら、かなりかわいそうな目にあいまくっていたティムちんですが、アグリーベティーにおいては、困ったところもかなりあるキャラですが、愛するべき主役としていい味だしてます。

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あと、ファッション業界を舞台にしているということで当然「ゲイ」のキャラも出てきます。

mikeurie.jpg

このマークは「ゲイです」という説明がなくてもわかるくらい、ステロタイプなオネエキャラ。いつも派手なファッションに身を包み、毒がたっぷりはいったユーモアで笑わしてくれます。ファッションに詳しく、競合他社のオファーを蹴ってMODE誌で働いているマークは、ファッションなんて全然知らないベティの方が先に編集部員になったことでストレスたまりまくり。美人の受付嬢アマンダと組んでなんだかんだと、ベティをいじめます。

becki-newton-hot-nc.jpgこのアマンダを演じるベッキー・ニュートンはヤバい。硬質な美女という感じで、冷たい美しさがあるわ!彼女が画面に出てくると、パブロフの犬のように私の脳内にて快楽物質がどぴゃどぴゃでちゃう。メークとか、ファッションとか、眉毛の動かし方とか、表情とか、誘惑の仕方とか…全て参考になるわー。

…というわけで、基本的に嫌な奴キャラのマーク&アマンダなのですが、たまにほろっとくるところがあったりで、完全に悪役ではありません。

マーク以外に、もう一人のゲイゲイしいキャラクターがいます。主人公ベティの甥にあたるジャスティン。

uglybetty.jpgこの子、いい子なんだわ~。

ベティのお姉さんが10代の時に生んだ子で今15歳ですが、ベティよりもファッションに詳しく、「オネエ」キャラ。学校でも「オカマ」といじめられています。そんなジャスティンにマークは、「同じような経験をした先輩」としてアドバイスし、励まします。そのアドバイスは「人気があって意地悪い女の子たちグループと仲良くなれ」とか「からかわれたらキツいジョークでかわせ」とかいかにもオカマキャラのステロタイプな生き延び方であったりするのですが、そういう笑えるシーンだけではなく、マークがジャスティンに語りかけるいくつかのシーンはかなり感動的です。いつもは嫌な奴のマークだからなおさら!



そんなジャスティンですが、親や周りが「ゲイでもいいのよ」みたいなメッセージを送ってくると「僕はゲイじゃないよ」と言い張ります。これはゲイであることを隠している描写としてなされているわけではなく、視聴者にとってはジャスティンが本当にゲイかどうかは本当にまだわからないのです。彼が女っぽい男、としてゲイ疑惑がかかり、からかわれていることは描写されていますが、はっきりと「ゲイである」とは書かれていません。

ジャスティンのキャラを確信犯的に「ゲイっぽく」してるのに、本人に「ゲイではない」と言わせているあたり、面白いな~てか、実は結構重要だろうと思って調べたところ以下のような記事を見つけました。

さすがに少年はNG?
人気ドラマ『アグリー・ベティ』騒動に見る、米の少年ゲイ問題


 マサチューセッツ州とカリフォルニア州では、既にゲイカップルの結婚が認められているが、10月より、コネチカット州がそこに加わることになった。このようにゲイの権利については日本よりはるかに進んでいるアメリカではあるが、少年となるとかなり微妙なようだ。
 ニューヨークポスト10月10日号内のTV欄「TVウィーク」では、日本でも人気のコメディ番組『アグリー・ベティ』に出演中のベティの甥ジャスティンが、TV界では今一番デリケートな話題であると報じている。

(中略)

彼の見た目や話し方がゲイっぽいことから、上記コラムでは「(アメリカは)14歳のゲイの少年を受け入れる準備はあるのか」「なぜ彼はまだこの番組から除外されないのか」などという意見が飛び交っており、"少年のゲイ"はTVではまだまだ難しい問題を含んでいる事を示唆している。

 ジャスティンは、同番組のシーズン1、2でそのゲイっぽいキャラクターから強烈な存在感をアピールしたが、まだ自分がゲイであるとは認識していない。今シーズン中にわかるのかと聞かれ、ジャスティンを演じるマーク・インデリケイトは「まだよ!」と即答。マークはイタリア系で父方にプエルトリコ系がミックスしているそうで、『ウェストサイド物語』で一躍スターになったジョージ・チャキリス似。8才にして既に舞台を経験しているというから、将来は大スターになるかもしれない。

 それにしても、主役のベティを演じるアメリカ・フェレラは最近、姉、甥、オフィスの同僚など、彼女をしのぐ強烈なキャラクターに囲まれて影が薄い。ゲイの少年が誕生でもしたら、スポットライトはそちらに移ってしまいかねない。そっちの方がむしろ心配。成人のゲイはOKというのはドラマ『ウィル&グレース』で証明済みだが、"少年は微妙"というのがアメリカ人らしい。ゲイをサポートしているブラッド・ピットにしても、自分の息子がゲイとわかったら、さすがに慌てるのではないだろうか?
(セリー真坂)

http://www.cyzowoman.com/2008/10/post_58.html


このライターの視点が微妙にホモフォビックなのはさておき、私はジャスティンがゲイであることを明かしていないのは、アメリカの視聴者に14歳(第1シーズン当時)のゲイが受け入れられないから、ではなく番組制作者の周到な考えからだと考えることもできる、と思っている。

まずわかりやすいところからいくと、ジャスティンの年齢。14歳、15歳という年代は思春期真っただ中であり、自分のセクシャリティに迷う時期である。これはゲイやバイセクシャルに限らず、ノンケであっても迷う時期だろう。番組制作者はそういう描写としてジャスティンのゲイ否定を書いている可能性がある。

また次に、ジャスティンは本当にノンケかもしれないということ。周りがゲイっぽい、と思っても、それは必ずしも本人がゲイであるとは限らない、ということ。どう見ても「ゲイ」にしか見えないジャスティンが「ゲイじゃない」というと、家族はちょっと固まってしまってるのですが、ゲイのマークはそこらへんを心得たもので、「違うっていってるなら、ゲイじゃないんでしょッ!」ってな感じで流してます。

また次に、「女っぽい」「なよなよしている」などというホモフォビックなイジメは、当人がゲイであろうとなかろうと起こりうる、ということ。

番組の制作者は上のような事情を絡めて現在のところジャスティンを「ゲイ」とは明確にしていないのではないかと思っています。少年ゲイのキャラクターに対する風当たりという事情もあるのかもしれませんが、それだけが理由じゃないと思う。

また、私は見ていないのですが、第1シーズンにおいては、MtFで性転換した美しいキャラクターが重要な役割を果たします。

N0013682_l.jpgこの役を演じたレベッカ・ローミン可愛い。身長180cmだってっ!スタイルよすぎ。あーもうこのノーブルな笑顔たまんない~。目尻のシワとかもとってもチャーミング。

どちらにしろ、アグリー・ベティはドラマとして面白いだけではなく、クィアなテイストを持ち、移民や医療保険などの問題など、社会的な多様性にも配慮したドラマだと言えそうです。2008年にはGLAAD(The Gay and Lesbian Alliance Against Defamation“中傷と闘うゲイとレズビアンの同盟”)が主催する第19回GLAADメディア賞を受賞しています。

最近、私は、郊外の主婦たちを主人公にしたドラマ「デスパレートな妻たち」にもハマっていて、純粋なエンターテイメントとしてみると、こちらも超面白いのですが、ドラマから人生についての何を学べるか、という点ではアグリー・ベティの方が上かな~とか思いました。打ち切りの噂などがあるようですが、是非続いてほしいです。

ファッション好きなあなた、プラダを着た悪魔が好きなあなた、ニューヨークが好きなあなた、どじな主人公が恋に仕事に頑張るストーリーが好きなあなた、意地悪くてオシャレなオネエキャラが大好きなあなた、苦しくても助け合うラテン系の家族の濃い愛情物語を見たいあなた、是非観てみてください。

オススメ★

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  • 2009/12/01
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