最近読んだ、嶽本野ばら

以前も書きましたが、嶽本野ばら様の小説が結構好きです。

野ばら様は、何か「ロリータ」とか「乙女」とかそういうイメージが強くて、私なんぞが手を出してはイケない領域だと勝手に思い込んでいたのです。が、読んでみたら「意外に面白い!」ということで、ここ数年でいくつか読みました。「人生を変えられる!」というタイプの小説ではないですが、読んでて楽しいので好きです★

私は以前、田口ランディへの文句として「文章の中で、うんちくの占める割合が多すぎて、ストーリーが結構陳腐なんだよな」と書きましたが、同じく、文章におけるうんちく比率がめちゃくちゃ高いであろう野ばら様に対しては、なぜかそういう嫌さを全く感じません!

昨日読んだのは「鱗姫」

鱗姫 (小学館文庫)

書き出しからしばらくは野ばら様らしく、美へのこだわりや洋服への愛をうんちくたっぷりで楽しませてくれるのですが、突然展開がホラーに!!

小説の中にも楳図かずおの漫画『おろち』への言及があるのですが、まさしく、楳図かずおの漫画!というような展開でした。

おろち 1 (ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション! 4)

…というか、小説中の『おろち』への言及はぶっちゃけ不必要だと思った。私は彼のうんちくにまみれたペダンティックな文体が好きですが、楳図かずおとエリザベート・バートリについての言及は、これらがなくてもよかったと感じました。いや、エリゼベートについては、ストーリーの展開上関係してくるので、百歩譲って言及が必要だったとしても、『おろち』についてはカットしてもよかった。『おろち』についての言及が出てくる冒頭では意識しなかったのですが、中盤以降の「閉鎖病棟」の中のシーン、最後の方の強引な伏線の回収、および「えっ!これで終わりかよ?」というラストシーンなどは、「うーん~楳図…」と感じてしまうことをとめられなかったので。むしろ、あからさまに「楳図っぽい」と指摘されると思ったので先回りして『おろち』に触れたんでしょうかね?

まあ、面白かったのですが、小説としては、何か、モノ足りませんでした。あとこの作品は「美醜」「差別」についてという切り口からもっと突っ込めそうなポテンシャルも感じさせられましたが、とにかく、主人公が深く物を考えて悩むタイプではないので、読者としてもさらっと流してしまう。

というわけで★2つです。

でも野ばらさまの他の作品は結構好きです。

下妻物語
下妻物語 スタンダード・エディション [DVD]下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん (小学館文庫)

映画をきっかけに読みました。私は大抵の場合映画より原作本の方が好きなのです。

エミリー
野ばら様の作品をちゃんと読んだのはこれだったのですが、結構衝撃でした。

エミリー (集英社文庫)
嶽本 野ばら
集英社
売り上げランキング: 46793
おすすめ度の平均: 4.5
4 生きづらさ、を感じている人へ
4 ぎりぎりです。
5 生きる流儀が違う。
5 何という才能!
5 穢い世界の美しい魂の



ロリヰタ
ロリヰタ。
ロリヰタ。
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嶽本 野ばら
新潮社
売り上げランキング: 527913
おすすめ度の平均: 4.5
5 「好き」に理由はありません。
5 好きで何が悪い
5 ゆるぎない心、通い合う心
4 彼の考えていることは
5 ロリヰタの奥義


ロリータ文化に造詣の深い小説家と少女の禁断の恋という設定が面白い。こういう虚実混ぜあわせて、読者の妄想を駆り立てるみたいな芸風が上手ね、って思った。あと彼の作品には「えっ!」って驚くところが大抵出てくる。驚かされるのは好き。

ミシン
ミシン
ミシン
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嶽本 野ばら
小学館
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おすすめ度の平均: 4.0
4 オリジナルな世界観を描き切る力量
3 なぜ『ミシン』が本のタイトルなのかな
5 それは世界の果て、
3 魅力ある作家
4 ミシン


フリーペーパーの制作から雑貨屋の店主へという野ばら様本人の体験を下敷きにしたのではと思われる設定の『世界の終わりという名の雑貨店』。途中までは私がうっすらいだいていた「野ばら様」というイメージの筆致だったのですが、セックスシーンなどが結構ガリガリ入ってきて「えっ!」って思っいました。『鱗姫』でも感じましたが、野ばら様の小説は乙女っぽい中に突然性的な要素や毒がぼんと出てきます。そこが下品と感じる人もいるかもしれませんが、私は好きです。ただ、小説としては、『ミシン』の方が私は好きでした。

ミシン2/カサコ
ミシン2/カサコ (小学館文庫)
嶽本 野ばら
小学館
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おすすめ度の平均: 5.0
5 最高に「パンク」でした。


矢沢あいの人気漫画『NANA』を思いださせるようなヒロイン「ミシン」と、彼女に憧れる主人公のお話。百合っぽくも楽しめます★

私はミシンの二人が屋上で抱き合うシーンと、ミシン2/カサコで「解剖台の上のミシンとコウモリ傘の出会いのように美しい」というセリフをミシンが間違って引用し、カサコが訂正するシーンが、可愛くて好きです。

私は個人的にはファンシーなモノや耽美的なものにはさほど心惹かれず、ロココより、江戸時代に心おどるタイプの人間ではあるのです。が、野ばら様の作品に出てくるこだわりを持つキャラクターたち、そして、美学に貫かれた文章には強い魅力を覚えます。

ちなみに、これ、ものっすごい言いづらいのですが…恥を偲んで告白しますと、私は吉屋信子の作品を読んだことがありません(ひっひぃ~!ぶ、ぶたないでっ!)吉屋信子だけでなく、「少女文化」全般について疎いことこのうえない私ですが、最近非常に興味があります。今後読んでみたいと思います。まずは、野ばら様が監修をされている『吉屋信子乙女小説コレクション』かな…?

屋根裏の二処女 (吉屋信子乙女小説コレクション)花物語 上 (河出文庫 よ 9-1)花物語 下 (河出文庫 よ 9-2)
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Re: 最近読んだ、嶽本野ばら
はじめまして。yukoといいます。いつも楽しくブログ拝見させて頂いてます☆

嶽本野ばらの「エミリー」を高校の時読んで、なんか衝撃受けたの覚えてます。具体的なストーリーは覚えてないけど、作品の雰囲気がなんか気に入ったんですよねー。でも、「エミリー」しか読んでないていう。(笑)
田口ランディーは読んだ後めっっちゃ怖くなったんで、それ以来読んでないです。(笑)
最近でいったら、友達に勧められて読んだ、西加奈子の「さくら」が衝撃だったかなあ。

日本文学なら最近の作家より、夏目漱石とか、谷崎潤一郎(変態 笑)、川端康成とか辺りが好きかなあ。日本語が綺麗っていうか。あっさりと美しい、みたいな。
って、私の好みはいいとして。(笑)

いつもブログ楽しみにしてるので、これからもいろんな情報、宜しくお願いします。
ではではー。


  • 2010/09/11
  • yuko
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Re: 最近読んだ、嶽本野ばら
こんにちは。同じ本の感想記事を
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お気軽にどうぞ。
  • 2010/10/23
  • 藍色
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鱗姫 嶽本野ばら
奇跡的な美肌と美貌をもつ京都の名門龍烏家の長女・楼子は、最愛の兄・琳太郎とともに、揺籃の中で日々美しきものだけを愛する暮らしを送っ...
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