リバタリアンが語る「提案19号否決の理由」と「大麻合法化への戦略」

カリフォルニア州では、中間選挙と同時に、大麻を解禁するかどうかの住民投票Prop 19が行われ、賛成46%、反対54%で否決された。事前の調査では、アルコール飲料団体、大麻の取締を仕事としてる警察関係者などが反対していることが伝えられていたが、リベラルなはずのカリフォルニア州で、大麻解禁が否決されたことは、驚きをもって伝えられた。

その理由を、ハーバード大学の経済学者ジェフリー・ミロンは、以下のように分析し、今後の戦略について提言している。(彼はリバタリアンの立場から、麻薬の合法化を以前から主張している。参考記事

Why did California vote down legal pot?
■Prop 19が否決された理由

ミロンは、Prop 19が否決された理由として、賛成派が、選挙キャンペーンにおいて、あやまったメッセージを強調した点あげる。

Prop 19主な賛成派の主張は以下の2点だった。

1)カリフォルニア州の財政の改善
大麻に課税し税収アップ&現在大麻取締に使われているコストの削減することにより、破綻寸前と言われるカリフォルニアの財政が改善するだろうという主張

2)メキシコの麻薬戦争の状況改善
大麻を合法化すれば、現在大麻を違法に扱っているブラック・マーケットがなくなり、麻薬をめぐる犯罪や警察との「麻薬戦争」がなくなるという主張

だが、ミロンによればこの2つの主張に主眼をおくことは間違っている。

なぜなら1)カリフォルニア州の財政は、大麻の税収によってどうにかなるレベルではなく、もっと大規模にめちゃくちゃになっているし、2)メキシコの麻薬戦争は主にコカインや覚せい剤に関わるものだからである。

カリフォルニア州において、既に大麻は医療使用が解禁されており、違法な大麻も、非常に簡単に手に入る。大麻は既に「ほぼ解禁されている状態」に近く、Prop 19を通しても、現実にはProp 19支持者が大騒ぎするような、そこまで大きな影響はない。それを有権者は感じ取っていたのだ。

■大麻を合法化するために必要な戦略の変更

それでは大麻合法化に向けて、活動家はどのような戦略を取ればいいのか?ミロンは以下の3点をあげる。

1)大麻の合法化は「自由な社会」の問題であることを強調すべきである。

大麻の合法化は、国家から干渉されずに、個人的な決断をできるかどうか、という問題であるという主張にした方がよい。

大麻を違法にした方がいいという主張の証明責任は、禁止論者に負わせるべきであり、大麻合法化論者が、大麻合法にまつわるメリット(例えば、犯罪が減るとか、税収入の増加とか)を上げることは、説得力が薄い。

2)大麻の合法化は連邦レベルで活動するべきである。

いくら州レベルで大麻を合法化しても、現在の連邦法は大麻を禁止している。確かに、現在医療大麻の使用がそうであるように、州レベルでばらばらに活動して実績をあげることで、多少の実績はでている。が、結局のところ、そのような動きをもってしても、連邦レベルの捜査官が依然として取締の権限を握っているのだから、彼らから直接取締の権限を奪う必要がある。憲法上、大麻を所持、使用することを国が規制することを正当化することはできないと主張するべきである。

3)リベラルだけではなく、もっと保守派に働きかけよ。

現在、一般的な大麻合法論者へのイメージは「大麻中毒者」が、自分が吸いたいというために活動しているというもの。

だが、1でのべたように、大麻合法化は、政府が個人的な決定に口を出すべきではないという問題として設定でき、実際には、多くの保守派が大麻の合法化に賛成している。

自由、個人の責任、そして憲法、という点を強調して、(その動機が医療であれ、嗜好品としてであれ)成人が、自分の責任で大麻を栽培、使用することを規制するべきではない、と話せば、多くの保守派の賛成を得ることができる。

ミロンは「大麻は合法化することができるし、合法であるべきである。だがそれを実現するための戦略は変わらなければいけない」と宣言している。

★ ★ ★

以前も何度か書いたが、私は大麻合法化については、同性婚と同様興味を持って見ている。またそれを実現するための、社会活動の方法論にも興味をもっている。だから、この議論もとても面白く読んだし、議論や戦略の一部は、「同性婚」にも適用できるのではないかと思って考えていた。

大麻合法化と同性婚合法化には、異なる点もあるが、似ている点がある。例えば、リベラルに支持されがちだが、「個人の選択の自由」を強調することで、保守派にも訴えることができる点、州法と連邦法によってバラバラな扱いがされている点、など。(実際、ミロンは、同性婚に関しても、リバタリアンの立場から賛成の立場を表明している

大麻合法化活動家は、その活動の方法論を、同性婚合法化活動から学んでいると語っているし、その逆の方向で影響を受けることもあるだろう。私自身は(あまりこのようなタームを使うのは得意ではないが)社会的な立場としては、よりリベラルであり、リバタリアンに全て同意するとは言えないのだが、それでも一連の議論は勉強になり、説得的であると感じた。

参考:私が過去に書いた大麻合法化についての記事

4月20日は大麻(マリファナ)の日
http://yuichikawa.blog28.fc2.com/blog-entry-1438.html


リベレーション活動におけるメリット戦術の有効性と限界
http://yuichikawa.blog28.fc2.com/blog-entry-1439.html


その他、マリファナ合法化関連の記事

Newsweek マリフアナ合法化の損得勘定
http://newsweekjapan.jp/stories/world/2010/05/post-1233.php


Newsweek マリフアナ全米解禁論の詭弁
http://www.newsweekjapan.jp/foreignpolicy/2010/10/post-178.php


関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ビアン(ノンアダルト)へ 👈応援クリックお願いしますm(__)m

comment

comment form
公開設定

trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。