「公民権/人権の日」と「マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日」の戦い

(1月17日追記:全然アクセス&拍手がないのでタイトルを変えてみました)
本日は、キング牧師の誕生日(1月15日)の次の月曜日です。

キング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニアは当時行われていたバスや学校での隔離政策を批判し、差別撤廃と公民権法制定のために尽力したことで知られ、広く尊敬を集めている人物。暗殺されたあとも、大きな影響力を残しています。有名な「I have a dream」スピーチを英語の授業などで聞いたことがある方も多いのでは?

そんな彼の功績を称える「キング牧師の日」はアメリカの国の祝日。役所や証券取引所などは休みになります。しかしこの日が公式な祝日として認められるまでにはアメリカ人種問題を反映するかのような大きな議論と、紆余曲折がありました。

1968年に、キング牧師が暗殺された直後から、彼の誕生日を祝日にしようという動きはあり、1973年にはイリノイ州は全米で初めてキング牧師が公式の祝日になりました。

しかし、この動きを快く思わない人々はいたのです。

例えば、現在大統領予備選挙に出馬している共和党のロン・ポールは、以前自らのニュースレターの中でキング牧師の日のことを「Hate Whitey Day(白人を嫌う日)」と表現して物議を醸しました。

(この発言が、人種差別という観点からみて問題なのはもちろんですが、そもそもリバタリアンのロン・ポールは、労働組合を作ろうとしたり、貧しい人々のためになる政策を進めようとしていたキング牧師とはそもそも意見が合わないんでしょう。彼のことを「嘘つきで社会主義者のエロ!」みたいな悪口を言っちゃってます。オバマの医療保険改革の時などにも感じましたが、アメリカでは「社会主義者!」とか「共産主義者!」というのが破壊力のある悪口として使われている印象です)

キング牧師は当時の黒人指導者層の中でも、白人への恨みや憎しみを煽るタイプではなく融和的で比較的穏健派という位置づけだと思います。それでもなお、「キング牧師の日」を公式な祝日として認定することを、白人に対する憎しみだとか、攻撃だと捉えたり、恐れを感じてしまう人がいる、というのが興味深かったです。

1979年には「キング牧師の日」を国の祝日とする法案が一旦否決されました。ロン・ポールももちろん反対票を投じています。しかし、1980年代初頭には「キング牧師の日」を認めよという動きがより大きくなり、1983年にキング牧師の日はとうとう連邦の国の祝日となりました。当時の大統領はレーガン大統領。

しかし、「キング牧師の日」に抵抗する勢力もなかなかしぶとく、州によってはキング牧師の日ではなく「公民権の日」とか「人権の日」という休日にしたり、また名前こそ「キング牧師の日」だけれどもそれを公式な祝日にしない、という状態が続いていたそうです。

アリゾナ州は1987年に州知事が「キング牧師の日」を廃止したことで、大きな批判を受け、ボイコット運動が巻きおこりました。アメリカンフットボールの祭典スーパーボウルの開催地がアリゾナからカリフォルニアに変更されたのもこの一貫。(アリゾナ州は、今現在も、ヒスパニック系に対しての差別的な施策が問題となり、「アリゾナをボイコットせよ!」と言われています。昔からこういう感じの土地柄だったんですね)その後、アリゾナ州は住民投票の結果「キング牧師の日」が復活。1999年にニューハンプシャー州は「公民権の日」という名前を「キング牧師の日」に変更。また、2000年にはユタ州がキング牧師の日を祝日と認めることで、全ての州でキング牧師の日が公式な祝日となりました。

今まで、当然のように「連休わーい♪」と脳天気に考えてしまっていましたが、どの日を祝日にするか、というのは、「単にいつ仕事が休めるか」という問題を超えて、大きな政治的意図を持っているのですね。コロンバス・デーもそうだし、サンクスギビングなんかもそうですね。

祝日とは異なりますが、以前ハーヴェイ・ミルクの誕生日である5月22日を公式に「ハーヴェイ・ミルクの日」とする動きがあることを紹介しました。こちらは2009年無事に法律になりました。日本の休日でも、「こどもの日」とか「天皇誕生日」とかいろいろ考えるとでてきますね。
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comment

外側から見て、アメリカってものすごく両極端な人達がいる国ですね。

テレビ見てて、「人種、性的指向、ジェンダーで判断するなんてナンセンスさ。」と無理をしている様な所も有り、一方ネオナチバンドが一部で流行ったり。


ワンダ・サイクスが「黒人の尊厳、ステロタイプ像を気にする事」から解放されたい!ネタやってました、
YouTubeで「初めて白人を見た時、まあ、白人はなんて『普通』に生活してるのだろうか!」と言ってた人もいました。
黄色人種的な風貌にコンプレックスを持つアジア系。米にもアイプチシールってあるんですね…。タイラ・バンクス・ショウで知りました。

キング牧師が言う様な世が早く来ればと願います。

日本だって他人事じゃないです。

私が驚いたのは、ネット上の韓国系or人・中国系or人の人に対する発言の酷さ。

同じ肌の色同士の問題ですが。

アメリカでも、同じコケイジャンなのに、ユダヤ系やイタリア系が蔑まれたりして。

全ての事に対してリベラルになる事は無理ですが、人を個人として見る人間になりたいです。
  • 2012/02/04
  • nihongami
  • URL
Re: タイトルなし
そうですね。おっしゃるとおりかと思います。アメリカっていっても本当に広くて一概にはいえないですね。
日本のレイシズムもホント見てていやになりますね。
在米の日本人でも結構そういう発言がまかりとおってたりするので驚きます。
私も全てのことに対してリベラルではないですが、「人を個人としてみたい」というご意見に同感です。

> 外側から見て、アメリカってものすごく両極端な人達がいる国ですね。
>
> テレビ見てて、「人種、性的指向、ジェンダーで判断するなんてナンセンスさ。」と無理をしている様な所も有り、一方ネオナチバンドが一部で流行ったり。
>
>
> ワンダ・サイクスが「黒人の尊厳、ステロタイプ像を気にする事」から解放されたい!ネタやってました、
> YouTubeで「初めて白人を見た時、まあ、白人はなんて『普通』に生活してるのだろうか!」と言ってた人もいました。
> 黄色人種的な風貌にコンプレックスを持つアジア系。米にもアイプチシールってあるんですね…。タイラ・バンクス・ショウで知りました。
>
> キング牧師が言う様な世が早く来ればと願います。
>
> 日本だって他人事じゃないです。
>
> 私が驚いたのは、ネット上の韓国系or人・中国系or人の人に対する発言の酷さ。
>
> 同じ肌の色同士の問題ですが。
>
> アメリカでも、同じコケイジャンなのに、ユダヤ系やイタリア系が蔑まれたりして。
>
> 全ての事に対してリベラルになる事は無理ですが、人を個人として見る人間になりたいです。
  • 2012/03/13
  • イチカワユウ
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