レズ友達がご出産

昔、一緒にWeHoに行ってた美少女仲間にNicoleって子がいる。彼女とは五年くらい前にクラブで近くで踊っていたのがきっかけで知り合い、それから毎週のようにパーティするようになった。その時のことはよくブログにも書いていた。
Nicoleは東南アジア系の移民一世の両親に生まれた。彼女の両親は初め学生ビザでアメリカに到着し、当時の所持金は数百ドルだったという。その後、テキサスではじめた家族経営のレストランビジネスが成功し、アメリカで生まれたNicoleは、英語の訛りもなく(あえていうならテキサス訛り)、学費の高いLAの私立大に進学し、レクサスを乗り回せるようになった。

一人娘で甘やかされて育ったように見えるNicoleだが、なんでも彼女の思い通りになったわけではない。両親は彼女がゲイであるということを絶対に認めなかった。Nicoleはもう随分前に両親にはカムアウトしているのだけど、時間が経っても、彼らの態度は変わらなかった。

「ゲイであることは認めない」

彼女の両親は宗教を信じてもいないし、別に同性愛を憎んでいるわけでもない。他人のことならゲイだろうとなんだろうと好きにすればいいと思っていた。でも、自分の一人娘がそうだとなると話は別なのだ。

ゲイであること以外ではNicoleはとても両親と仲が良い。ビジネスも一緒にやっているし。決して両親と反目しあったりしてるわけではないんだと思う。Nicoleの両親は母親が支配的で父親の存在感はほとんどない。レストランビジネスも母親が支配人で、父親は料理人の一人にすぎない。父親は父親でホモフォビックだったのかもしれないけど、それは母親の発言力に比べたら大したことなかった。それに、テキサスの両親を離れて、LAで青春を楽しんでいたNicoleにとっては、母親の反対も多分大したことなかったんだと思う。

Nicoleは火曜日にElevenっていうクラブでやっていたパーティのトイレに並んでいる時に少しぽっちゃりした女の子と知り合った。翌日に彼女は興奮した調子で電話してきた。「可愛い子と知り合ったの!」

Nicoleは初めてのデートで日本の焼肉レストラン「牛角」を選んだ。デートの最後に彼女はベジタリアンだっていうことがわかった。二回目のデートではNicoleは飲み過ぎて、道端でおしっこをしなければいけなくなり、しかも、そこで自分のおしっこの水たまりに転んでしまった。その上、Nicoleは仕事の都合でテキサスに引っ越す直前だった。周りの誰もが、このデートは長く続かないだろうと思った。でも、二人は驚くべきことに、毎晩のように長電話を繰り返し、彼女同士になることを決めた。Nicoleは知り合って一年も経たないうちに彼女にプロポーズし、彼女はテキサスに引っ越すことに合意した。

婚約した二人だけれど、すぐに結婚したわけじゃない。同居までには時間があったので、遠距離恋愛を生き延びるために、婚約という特別な方法を使ったっていうのはあるのかもしれない。それに、当時既にNicoleの母親はガンの宣告を受けていて、もう長いこと仕事の傍らで治療をしていた。Nicoleはもう母親は長くないだろうと思っていた。「母親が死んで、喪があけたら彼女と結婚するつもり」Nicoleは私にそう計画を打ち明けていた。「母親が生きている間に同性婚をして母親にストレスを与えたくない」アメリカ人らしい合理的でドライな口調に驚いたのを覚えてる。

しかし、Nicoleの母親は元気だった。初めは半年くらいだろうと言われていたのだが、化学療法がうまくいったのか、半年過ぎても、一年過ぎても彼女は元気だった。Nicoleの彼女は段々じれったくなってきた。「早く結婚したい」Nicoleは彼女をテキサスに呼び寄せ、二人で住むための一軒家も買った。

「母親の死を待ってから結婚」という計画はもはや無理らしいし、ずっと結婚を待っている彼女にも失礼だと思ったNicoleは、もう結婚することにした。テキサスにはパートナーシップ法はないが、カリフォルニアではほぼ結婚と同じ権利がもらえるパートナーシップ法がある。カリフォルニアの海の見える式場に招待客もたくさん呼んで、思いっきり伝統的な結婚式をあげる計画も立てた。

テキサスに引っ越したNicoleの彼女と母親は仲良しだった。LA出身の彼女がテキサスの小さな街でゲイを認めない母親とうまくやっていけるのか、初めは誰にもわからなかったけど、うまくいったのだ。彼女はとってもいい子だし、母親も、いくらゲイ反対といっても、自分の娘が好きな人と仲良くしているのを見るのは嬉しかったんじゃないかな?

Nicoleと彼女は結婚式の招待状を母親に渡して、結婚式に出てほしいと頼んだ。でも母親は首を振った。「二人が幸せになってほしいけど、私は二人の結婚を祝福できない。出席することはできない」と。Nicoleも彼女も泣いた。でもそこで止まることはなかった。Nicoleはゲイの親友で、普段は「お兄さん」と呼んでいるくらい仲のよい友だちに、一緒に入場してくれるよう頼んだ。Nicoleの彼女の両親はメキシコ系移民だが、二人のことを祝福していたし、結婚式にも出てくれるということだった。

二人の結婚式は、私にとっても初めての同性婚で、すごく印象に残るものだった。Nicoleの両親は出席しなかったけれど、Nicoleの友達は一杯いた。昔の同僚、大学の友達、そしてゲイ・コミュニティからも。Nicoleの奥さんの家族は「娘が二人できて幸せです」という感動的なスピーチをした。

その後彼女たちは子どもを産むことにした。カリフォルニアの精子バンクから精子を取り寄せ、同じ精子を使って、数年の間を開けて順番に妊娠することにした。初めはNicoleが生むことにした。Nicoleの方が年上だったし、もしも彼女の方が先に子どもを産んだ場合、血縁にこだわるNicoleの母親は産まれてきた子どもを自分の家族として認めないだろうと感じたからだ。でもNicoleが産んだ子なら、母親も受け入れるだろう。妊娠は成功し、彼女のお腹は大きくなった。ものすごーく大きくなった。一度彼女のお腹を触らせてもらった。お腹は思ったより硬かった。

Nicoleのお母さんは、相変わらずゲイであることに対して反対していた。Nicoleが「結婚」していることや、彼女の私生活について母親がコメントすることはなかった。でも、妊娠してからは、仕事で会う人や親など多くの人々に「今度孫が産まれるんです」と自慢をするようになった。孫が生まれることが嬉しかったらしい。

そして、今週。Nicoleの子どもがやっと産まれた!しわくちゃで、とらえられたエイリアンみたいに見えなくもないけど、とっても可愛い子だ。順調にいけば、数年後は彼女の方が生むだろう。

Nicoleの母親が赤ちゃんを見て、どう言ったのかはまだわからない。また数年後、彼女が出産した時に、母親がどう思うのかはわからない。だけど、きっと彼女の中で「自分の孫が産まれた」っていうのは、Nicoleと彼女という同性カップルへの見方を変えてくれる出来事だったんじゃないかなあ?

同性婚を認めたら少子化が進むとか、レズビアンとして生きることは一生独身でいることだとか、子どもを持つこと(すなわち、自分の親に「孫の顔を見せること」)を諦めることとイコールだと思ってる人もいるかもしれない。でも、そうじゃない現実も可能だし、それは、自分の直接の友達の身に、今この瞬間起きてるんだってことが、何かとても新鮮だった。

関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ビアン(ノンアダルト)へ 👈応援クリックお願いしますm(__)m
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。