アメリカで『Lの世界』の放映十周年

Lの世界 DVDコレクターズBOX


「どうしてロサンゼルスに引っ越してきたの?」と聞かれると「Lの世界(The L Word)の影響」と答えていました。

……半分は冗談だけど、半分は本気でした。

The L Wordについて教えてくれたのは、アメリカ人の友達でした。仕事の面で優秀なだけでなく、音楽や映画に詳しく、社会活動にも熱心でアクティブだった彼女に私は憧れていたのかもしれません。

彼女とうまく話したいと思って、私は英語を頑張りました。「こういう英語の言い方はキツく聞こえるから気をつけた方がいいよ」そんなアドバイスには必ず従いました。おすすめの音楽も、本も、必ずチェックしていました。

だから、「絶対に観るべきテレビドラマがあるよ。アメリカの友達も皆夢中なの。あなたも気に入ると思う」と聞いた時には、何がなんでもそれを観ようと心に決めたのです。

当時は第一シーズンの放映中。まだ日本で観ることはできなかったので、インターネットを駆使し、やっとのことで第一話を観た時の衝撃は今も忘れられません。何度も繰り返し観ました。字幕もなく、画質も悪く、英語の聞き取りもろくにできなかった私には半分も理解できませんでしたが、それでも面白くてたまりませんでした。

「ねえ、The L Word観たよ。面白かった」
「どのキャラクターが好き?」
「うーん。マリーナかな。あなたは?」
「私は、断然シェーン!」

次の瞬間、私は間違った一言を投げかけてしまったのです。

「あなたってちょっとシェーンに似てるよね」
「私がシェーンに似てる!?……でもシェーンはブッチじゃない!私はフェムよ!」

シェーンはかっこいいし褒め言葉のつもりだったのですが、彼女は傷ついた表情でうつむきました。(ああっ、この子はかっこいいと思ってたけど、「フェム」扱いしてあげなければダメなのね)と学んだ瞬間でした。私は彼女はフェム好きのブッチに違いないと思い込んで、一生懸命フェムっぽく可愛くしていたつもりなのですが、実は彼女のタイプは「シェーン」なのでした。私は見当違いのマーケティングをしていたわけです。それからしばらくして、イベントで見かけた彼女は、まさにシェーンっぽいかっこいい娘と一緒にいちゃつきながら踊っていました。

「ガーン!」

私の淡い恋心と下心は木っ端微塵に打ち砕かれました。そして、私は決めたのです。アメリカに行くと。彼女の出身地であるカリフォルニアに行って本場のLの世界を味わってやると……(半分冗談)

翌年、渡米準備のために一ヶ月ほどLAに滞在しました。それ以前にもLAに来たことはありましたが、今回は「The L wordの!夢にまでみた!あの街にいるんだわ!」と大興奮。ちょうどLの世界の第二シーズンが始まる時だったので、誰かケーブルテレビに加入している人はいないかなー、一緒にLの世界を観られるような友達がほしいなーとWeHoで一生懸命知り合いを作るべく下手な踊りと下手な英語を駆使して、頑張りました。とにかく現地の友達がほしい。顔も外見も年齢も関係ない。ブッチでもフェムでもいい。誰か私と友達になって!と必死でした。

DVDが発売された後はすぐ買いに走りました。レジのお姉さんに「私もこのドラマ好きなの!」と話しかけられ、好きなキャラクターの話で盛り上がったのもよい思い出です。

やがてWeHoに通うことが日常になると、番組に対しての疑問が生まれてきました。シーズンを追うごとに展開も変になっていきました。The L Word以外にもレズビアンが登場するドラマや映画の存在も知りました。何より、毎週のように新しい出会いや失恋や裏切りに見舞われる自分の生活自体が、まるでドラマのように感じられてきたからかもしれません、私の中でThe L Wordの重要度は徐々に低下していったのです。コミュニティの中でも人気はなくなっていき、初めはほとんどの人が観ていたのに、最終シーズンまで観ている人は少数派でした。

それでも、やっぱり十年前に始まったこのドラマがメディアに、社会に、そして一人一人に与えた影響は大きく、その偉大さは決して消えることはないでしょう。それはまるで「かつて知り合いだった誰か」の存在が、いつまでも心の中に残っていて、時に今の自分にも影響を与えてくれるかのように。

この前、久しぶりにLの世界を教えてくれた彼女のことを思い出し、検索してみました。元気でやってるみたいでした。いつの間にか音信不通になってしまった彼女。もうこれから連絡を取ることはないでしょう。でも、世界のどこかで彼女が頑張って生きていてくれることは、なぜか自分のことも元気づけてくれるような気がしました。

あなたはLの世界を観たことがありますか?
どんなきっかけで見始めましたか?
もしよかったら、あなたの思い出も教えて下さい。

Lの世界 DVDコレクターズBOX
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2008-03-07)
売り上げランキング: 69,842


関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ビアン(ノンアダルト)へ 👈応援クリックお願いしますm(__)m

trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。