ナンパ講座は童貞を救わない

バージンについてのドキュメンタリー『デスパレートなバージン達(Desperate Virgins)』を観た。制作はイギリスのチャンネル4。





イギリスでは96%の人が25歳までに経験する。しかし残りの4%はどうなるのか?このドキュメンタリーではさまざまな事情で25歳を超えてもバージンにとどまっている三人に注目し、彼らの「脱バージン」への挑戦を描いている。

この中で、「自分に自信が持てない」という理由で未だバージンのマイケル(29歳)が、ナンパ師を雇って「誘惑の技術」を学ぼうとするシーンがあった。

ナンパ師は、まずおとなのおもちゃやにマイケルを連れて行き、おもちゃについて講釈をたれた後は、ビデオを選ばせて「これを使え」と宿題を出す。次は、ナイトクラブにマイケルを連れ出し、「ナンパしろ!行け行け行け!」とけしかける。

(こんなんで、どーてー捨てられるわけないだろう!)

ナイトクラブで一人放り出され、戸惑っているマイケルを見てるうちに怒りが湧いてきた。

自信のない童貞に必要なのは、こういうことじゃない。

性産業やおもちゃが悪いわけではない。
クラブも楽しい。
ナンパの技術は有効だし、役に立つ。

でも、「脱童貞」のソリューションをこういうところに求めると、逆に女性観が歪んで、「こじらせる」危険がある。

こういうビジネスは、アメリカにも存在する。ピックアップアーティスト(PUA)と呼ばれる人々だ。女性とのつきあい方や誘惑の仕方がよくわからない男性に対して、駆け引きの力学を教え、より魅力的な女性たちをものにできるようにアドバイスを提供するPUAコミュニティは、数年前まで知る人ぞ知るといったサブカルチャーに過ぎなかった。

しかし、先日のサンタバーバラ郊外で射殺事件を起こした犯人のエリオット・ロジャーが、このPUAコミュニティに出入りしていたことで、PUAと、アンチPUAムーブメントの知名度は大きく上がった。

エリオットも、キスすらしたことのない童貞だった。「こんなに望んでいるのに、誰からもモテない。女性が手に入れられない」ことを苦にし、女性を簡単に手に入れるように見えるPUA達を憎んでいたのだ。

エリオットの事件の後、PUAコミュニティには「典型的欲求不満の負け犬」「俺のサービスを使えば彼は、こんな罪を犯さなくてすんだはず」などの書き込みが見かけられた。しかし、それは間違っている。PUAは、エリオットを救えなかった。多くのアンチPUAは、元PUAや、PUAになりたいけどなれないワナビーだ。エリオットの使う言葉を見れば、彼がPUAコミュニティにいたことがわかる。

エリオットのケースは、メンタルヘルスなど他の要因が絡んでいるため「じゃあ何がエリオットを救えたのか?」は一言でいえない。しかし、確実に言えるのは童貞を救うのはナンパ講座ではないということだ。

ある年齢を超えてのバージンは「未体験」ということにとどまらない。それはその年齢まで選びとり続けてきた、自分自身との、そして他人とのつきあい方の結果だ。バージンを脱したい時に、「性」自体にアプローチするのはよいが、それ以前の自尊心や身体感覚、性に対する考え、恐れ、無知、他人とのコミュニケーションの仕方……こういった部分にアプローチすることも必要だ。上っ面の技術だけでは足りないのだ。

わたしは、アメリカに引っ越した後、日本とは異なる「デート文化」に苦しみ、一時期、PUAコミュニティをウォッチしていたことがある。ブートキャンプに参加こそしなかったものの、デイビッド・ディアンジェロ、ミステリー、スタイル、サヴォイ……さまざまなグルーたちのメールマガジンや教材を読みあさり、オンラインフォーラムを観察した。

そこで学んだのは、PUAの教える「誘惑の技術」はナンパしてする役にはたつけど、恋人を探すのに役立つとは限らないということだ。むしろ、ナンパを繰り返し続けると、特別な誰かを好きになるのが難しくなる。万一、長くつきあいたい好きな人ができたとしても彼女に対して「誘惑の技術」を使い続けることは、マイナスに働く。

したいだけなら、「誘惑の技術」を使えばいい。でも、恋人が欲しいのならどこかで、ナンパ術を捨て去らなければ -- 着飾って取り繕った見せかけの「自信」を捨て去り、傷つきやすい自分をどこかで見せなければいけないのだ。

冒頭のドキュメンタリーに登場するマイケルは、「ナンパ師のやり方は好きになれない」とサービスを受けることをやめた。

「ナンパ師のやり方は女性を馬鹿にしているように思えた」

そう語るマイケルを見て、少しほっとした。

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