統計的に共和党支持に回りそうなアジア系アメリカ人は、なぜ民主党に投票するのか? -- 政治に影響をもたらすマイクロアグレッション

アメリカでは、富裕層ほど共和党の支持率が高い。裕福な人種グループとして知られるアジア系アメリカ人は、統計からすると普通なら共和党支持に回りそうなものだが、実際には過去ずっと民主党の支持が増えており、しかもそれは富裕層ほど顕著に見られる。この理由に先日からわたしが何度か書いている「マイクロアグレッション」が関わっている……という記事を見つけたので以下に訳してみる。


Trends indicate Asian Americans should be turning Republican – but they’re not
by Jim Patterson

増加し続ける収入をはじめとするさまざまな要因は、アジア系アメリカ人が、共和党に自然と馴染むべきはずであることを示している。しかし実際には彼らは、反対の方向へ素晴らしい速度で動いている。

2013年の大統領選挙において民主党のオバマ大統領はアジア系アメリカ人の票のうち73%を得た。過去20年間、アジア系アメリカ人は、安定して民主党支持の方向へと向かってきたと、この問題に取り組んでいる研究者たちは言う。

「政治学の世界では、収入の高さと共和党支持率が関連していることが裏付けられていることを考えると、これは不可解な話だ」ヴァンダービルト大学政治学部の准教授であり『なぜアジア系アメリカ人は、民主党を支持するのか?社会的排除とグループ間連帯のテスト理論』という論文の三人の執筆者のうちの一人であるシシリア・モーは言う。

「しかし、もう何十年もこのトレンドに逆らうアジア系アメリカ人がいるというのには気づいていた。その上さらに、裕福なアジア系アメリカ人は貧しいアジア系アメリカ人よりも、民主党に投票する割合が高い」

アジア系アメリカ人の投票行動は、時が経つにつれ、共和党にとっても民主党にとっても興味深いものになるだろう、とモーは言う。

「アジア系アメリカ人は、今アメリカ人口の4%を占めており、アメリカの中で最も早いペースで人口増加している人種グループだ。2050年には、アメリカの人口の9%を占めると予想されている」

アジア系アメリカ人は、いつも民主党を支持してきたわけではない。1992年にビル・クリントンに投票したアジア系アメリカ人はたったの36%にすぎなかった。そして、アジア系アメリカ人の職業、教育レベル、結婚状況や倫理観などを研究した多くの政治評論家は、アジア人アメリカ人のことを、共和党の支持層になるのが自然だとみてきた。

研究によれば、アジア系アメリカ人の平均世帯年収(65,429ドル)は、白人の平均世帯年収(51,863ドル)よりも高く、アフリカ系アメリカ人の平均世帯年収(32,584ドル)やヒスパニック系の平均世帯収入(38,039ドル)よりもずっと高い。

モーと、二人の研究者(コーネル大学行政学部の准教授アレクサンダー・クオとスタンフォード大学ビジネス大学院の准教授ニール・マルホトラ)は、アジア系アメリカ人がこのように共和党から距離を置く理由の一つとして、民族的背景に基づく排他感があるのではないかという仮説をたてた。

「私たちは、同時多発テロ事件後の少数派をめぐる言説の変化や、ティーパーティ運動の普及などに伴い、共和党が、より白人的に、よりキリスト教的になっていくのを感じとった」とモーは言う。「我々は、アジア系アメリカ人が、反少数派の言説に反応したり、そのような言説を共和党と関連づけて考えるやり方がこれまでになく具体的な方法になっていることについて、何かあると考えた」

研究の一部では、被験者はアンケートを記入するように求められた。しかしはじめに、アジア系アメリカ人と白人の被験者は研究助手によって「あなたはアメリカ合衆国市民ですか?私にはわかりません」と尋ねられた。

白人は、この質問に対してただ回答する以外の目立った反応は見られなかった。アジア系アメリカ人は、往々にしてこの質問に対していらだちを覚え、研究助手に対して、なぜその質問が腹ただしいものであるかを説明する者もいた。この一見無害に見える質問には、アジア系アメリカ人が真のアメリカ人ではないという含意があり、マイクロアグレッションと呼ばれ得るものなのだ。モーは「あなたは本当はどこ出身なのか?」とか「あなたの英語はとても上手」といった発言は、同じようにアメリカで生まれた有色人種からもよく聞かれるものであり、明白な偏見がほぼ許容されていないような環境においての、人種的少数派による人種的軽視として見られ得るものだと指摘する。

「アジア系アメリカ人の参加者のうち、アンケートの前にこの質問を受けた者は、アンケートの回答内容が共和党に対してより批判的だった」とモーは言う。「彼らは共和党を『無知』で『心が狭い』と見る率が高く、そして共和党が彼らの利益を代表してくれる存在として見る率が低かった」

この質問を受けなかったアジア系アメリカ人のうち76%が、民主党を支持していたところ、人種的なマイクロアグレッションを受けた参加者は87%が民主党を支持した。

移民政策や、アファーマティブ・アクションなどのように、共和党がアジア系アメリカ人からの支持を取り付けて、他の人種的マイノリティから引き離すために利用できるような「くさび問題」も存在する。共和党は、アジア系アメリカ人が他のマイノリティグループとは異なり、例えばヒスパニックなどとは競合する関心を持っていることを強調することもできる。

しかし、共和党がもしそんなことをすれば、彼らはヒスパニックを敵に回す危険を犯すことになり、新たな脆弱性をかかえることになるだろう。

http://news.vanderbilt.edu/2014/06/trends-asian-americans-republican/



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