盛り上がってる今こそ考えたい「貧乏人のためのワールドカップ」

ホッケーやバスケなどにまぎれてワールドカップが黙殺されていたアメリカだが、ようやくワールドカップについての報道が目立つようになった。しかし、観戦でファンが盛り上がる一方でブラジルの路上にはワールドカップ開催に反対する多くの市民が抗議を続けている。病院や学校に対して充分な資金投入がされていない中で、1.1兆円以上の資金を投じてワールドカップを開催するブラジル政府に多くの市民が怒りを表明している。

ブラジルでの抗議についてはたくさんの記事が出ている。

ワールドカップ開幕前、ブラジル国内がまったく盛り上がっていない
http://www.huffingtonpost.jp/j-sports/worldcup_b_5491086.html

ブラジルW杯:混乱の中、開幕の朝…デモ隊に催涙弾
http://mainichi.jp/sports/news/20140613k0000m050101000c.html

先住民もワールドカップ反対デモ参加 矢で警官負傷
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/140528/wcg14052817070003-n1.htm

今回は、今日のデモクラシーナウ!で興味深かったスポ―ツジャーナリストのデイブ・ザイリンのレポートをかいつまんで紹介する。
ブラジルでのワールドカップに反対する抗議活動は、去年から何百回も開催されてきた。アムネスティー・インターナショナルなどの人権団体は、地元警察が、抗議活動を制圧するために必要以上の実力を使っていると非難してきた。APによって日曜日に撮影されたビデオでは、リオデジャネイロのマラカナン競技場の周りに集まる反ワールドカップ抗議者に対して警察が実弾を発砲している様子が見られる。また警察は、抗議を解散させるために、催涙弾、ゴム銃弾、音響兵器などを使っていると報じられている。

マラカナン競技場(ここでは2016年に開催予定のリオ・オリンピックの開会式も行われる予定だ)から徒歩5分に位置するファヴェーラと呼ばれる地域は、かつては700世帯の家族が住んでいた。しかし、今は完全に破壊され、誰も住んでいない。ただ数件の店頭とたくさんの瓦礫、ネズミ、そしてゴミの山だ。よく見ると、壊れた人形や家具、人々の暮らしの痕跡が見て取れる。ここには駐車場が建つ予定だが、まだ建設されていない。

700世帯のうち、100世帯は、リオでオリンピックが開催されることが決定してから文字通り24時間以内に、銃口をつきつけられて退去させられた。他の600世帯は、これに注目し、市を訴え、弁護士を雇うための資金を貯めるなど、抵抗活動を組織しはじめた。

ファヴェーラは、英語で直訳すると「スラム」になる。しかし、ファヴェーラは実際には「スラム」の定義から想定するような貧窮して喜びの存在しないような場所ではなく、人々がその場でコミュニティを作り上げている場所だ。ブラジルは世界でももっとも占拠者の権利が強い国の一つであるため、このようにファヴェーラが存在するのである。貧困問題を偶像視してはいけないが、実際にファヴェーラは豊かな文化が活発に生み出される場所であり、ブラジルらしさだとかブラジル文化の中心に位置するものなのだ。ミルウォーキーのとあるスポーツバーは、ワールドカップ観戦のためにブラジルらしさの演出の一貫として、なんちゃってファヴェーラを作り上げたという(汗)しかしファヴェーラの文化の作り手自身はその創造から利益を受けていない(これは、アメリカ国内において、有色人種が、彼らの文化を作り上げながらもそこからの報酬を受けていない状況ととても似ている)。

もちろん、ブラジルには何十年もここに住んでいながら一度もファヴェーラに足を踏み入れたことがなく、ファヴェーラ住民を軽蔑の目で見る者も存在する。ブラジル政府はこのような人々の気持ちを利用し、オリンピックを土地を収用する機会にしようと試みたのだ。リオは今土地の投機ブームの真っ最中で、ファヴェーラが存在する土地は非常に強い力を持っている。

今、ブラジルでも「みんなのワールドカップ」であるコパ・ブエナが主催されている。コーディーネーターの一人、サンドラ・モヤは言う「コパ・ブエナでは、誰もお金を払う必要がない。そしてみんながプレイできる。無料なのだ。貧乏人は、ワールドカップには行かない。ブラジル人であっても、ブラジルのワールドカップに行くためのお金がある人なんていない。ワールドカップについて言いたいことはもうない。自分たちでコパ・ブエナを作り上げる方がいい。私たちは自分たちの手でコミュニティを作らなければいけない。政府を待っていても、何にもならない」






ワールドカップへの抗議として、オルタナティブなワールドカップを開催する、というのが面白いと思い調べたところ、ワールドカップへの抗議は場所を変えて繰り返されていた。4年前、2010年のFIFAワールドカップが行われた南アフリカでもスタジアムの近くの住民が、退去や引っ越しを強制され、スタジアム周辺で商活動を行うことを禁じられたことに対して、「反強制退去キャンペーン」が抗議として「貧乏人のワールドカップ」を主催した。強制退去させられたり、ゲームから閉めだされた人々は、抗議の代わりに、地元のフィールドでサッカーをプレイし、そこに人々を招くことでサッカーを祝福したいといったのだ。 

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Photos courtesy of the Anti-Eviction Campaign

スポーツをどうやって祝福するのか。大きなスポーツイベントをビジネスとして開催することは、本当に地元の人々のためになるのか?東京オリンピックもあることだし、日本も他人ごとではない。
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comment

官は強し、民は弱し
お上に振り回されるのはどこも同じなんですかね。国立競技場も建築家からは建て替えより増改築という予算や環境などメリットありまくりのナイスなアイディアが出てるらしいですけど。それが通るかは未定らしいです。
  • 2014/06/17
  • 通りすがり
  • URL
Re: 官は強し、民は弱し
コメントありがとうございます。国立競技場の話、なんとなく聞きました。しかし日本で反対署名をしてる建築家って、確かコンペで選ばれなかったですよね…それはそれでポジショントークな感じもしたり…笑。どうなることやらですね。また遊びに来てくださいー
  • 2014/06/18
  • イチカワユウ
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