instant BFF -- 即席の親友には気をつけろ

友達はすぐできるもんじゃない。

誰かと本当に仲良くなるためには時間がかかる。

だから誰かと知りあったばかりなのにさぞかし親友かのように振舞うのはあまり得意じゃない。

しばらく前に、そんな子が一人いた。

知り合ったのは、WeHoのクラブ。それからほぼ毎週毎週遊ぶようになった。その子はすごく暇みたいで、平日も学生の子と深夜までつるんでいた。

その子のことは誰も知らなかった。昨日やっと成人したとか、外国から引っ越してきたとかでもないのに。ずっとLAに住んでるアジア系のレズビアンなのに、誰も知らない?

これって、共通の友達が多いレズビアンコミュニティでは結構珍しいことだ。

「普段あたしはアジア人とつるまないし、レズの友達もいない。アジア人のレズの友達は君たちがはじめて」

彼女は確かにレズビアンの友達はいないようで、いつもノンケ男の友達を連れていた。彼らは彼女の言うことならなんでも聞く。飲み物を買ったり、遠くまで迎えに行ったり。仲間の誰かが、運転を嫌がると「どこどこにXXちゃんを迎えに行って」と派遣する時もあった。わたしも一度彼女のしもべに迎えにきてもらったことがある。彼女抜きでは話が続くか不安だったけど、彼らは実に従順に命令に従っているのだ。

どうやって、こんなに言うことを聞かせられるんだろう?と不思議に思ったりした。

彼女は確かに頭がいいし、話してて楽しかった。色恋的に私のタイプじゃないけど、モテる子で、その秘訣みたいのをすごく学んだ気がする。

彼女は格闘技のプロなみで、お金をめちゃくちゃ稼いでいて、自分のテクニックは神のようにうまいみたいと自慢していた。

「一晩に13回イカせたことあるよ」彼女は得意気にいった。

彼女はあっと言う間にグループの中の誰かをモノにし、他の誰かを好きになり、他の誰かと「大学院に入るための数学勉強会」を作った。彼女は、「皆でペディキュアイベント」だの、「珍しいエスニック料理を食べるイベント」だの、いろいろ企画した。LINEのグループチャットは、毎日未読が千件くらいたまってた。彼女は暇みたいで、よく誰かの家に泊まりに行ってるようだった。学生時代みたいだ。楽しかった。

皆で遊びながらも、彼女は時々わたしだけを呼び出して、秘密を共有した。

「君だけに言うよ」

彼女はわたしを、まるで親友であるかのように扱った。

「他の人たちは子どもだからね。わたしは仕事でも偉い立場だから、子どもに囲まれてるけど、たまには大人と話したくなるんだ。……君は、アーティストだからかな?クリエイティブな心を持ってるのがわかるよ……」

彼女はわたしが喜びそうなことをいうのが得意だった。

誰にでもフラーティに振る舞い、自慢話ばかりの彼女のことが何か苦手だと子もいたが、わたしはそこまで嫌じゃなかった。彼女はパーティで盛り上がり方を知ってるし、人をよい気分にさせる方法を知ってる。

でも、確かに何か一緒にいて落ち着かない感覚があった。

その落ち着かなさは、わたしだけが感じていたものなのだろうか?わからなかった。

そして、ある時、わたしたちは皆で旅行に行った。車で数時間のスキーリゾートに、車三台で集まった。キャビンを借り切って、皆で食べ物や飲み物を持ち寄って。夜、皆で経費を清算することにした。だから皆現金や小切手帳を持ってきていた。

「わたしはもう払いたくない」

彼女がそう言い始めた時唖然としたはずだ。

「もうお金は払った。小切手とか超面倒くさい」

「でも、あれはキャビンを予約するためのデポジットで……」

これは食費や暖炉用の薪や、その他もろもろの経費なのに。

デポジットを集めていた子も蒼白になっている。気まずい空気が流れている。

「あと、わたしは朝ごはん食べないから。朝ごはんの分は負担したくないし」

お酒を飲まない子が「はあ?」と呆れた声をだす。彼女だって、ソフトドリンクとお酒のお金を負担しているのだ。

楽しかったキャビンの空気は一気に凍りついた。

何考えてるんだ?あんた、金稼いでるって自慢してたじゃないか。友達だったんじゃないの?事前に集めたお金はキャビンの予約代だってわかってたはず。特別扱いが通ると思ってるの?

わたしは言った。

「いやいやいや。それはないでしょう」

彼女はわたしをきっと睨んでから、地下の卓球場へと足早に歩み去った。彼女に呼ばれた子分数名が慌てて後を追う。

残されたわたしたちは、苦々しい思いを引きずりながらも、ゲームや恋バナをして楽しい夜を過ごした。

翌日、彼女の姿は見えなかった。

彼女は車を持ってきていなかったし、雪の中、LAから数時間かかるこのキャビンからどう帰ったのか?彼女がどうやっていなくなったのか知る者は誰もいなかった。車を乗り合わせてきた子達も何も知らされていなかった。

後でわかったことだが、実は、LAから、彼女の手下の男の一人が彼女を迎えに来たらしいのだ。

その日以来、彼女はわたしたちの前から姿を消した。あんなに毎日毎日つるんでいたのに、完全に消えた。子分的な子とはその後も少し遊んでいたようだが、キャビンでお金を要求した子とわたしに対しては、完全に敵認定したらしかった。わたしもそれでよいと思っていた。彼女は確かに魅力的だけど、友達としての信頼性はゼロだ。目の前でそれを見せつけられたうえでなお、遊んでもらって喜ぶミジメさは持ってなかった。

友達に対しては、恋人に対してと同じくらい……いや、それ以上に人を選ぶべきなのだ。

わたしは、彼女が周りからいなくなってくれてホッとしていることに気づいた。わたしは多くの友達はいらない。少しの、信頼できる友達がいればそれでいいのだ。


……それでももちろん、たまに彼女を見かける時はある。相変わらず、男の友達を引き連れてクラブにいるのだ。

それから、最近、すごく彼女を思い出させるキャラクターと出会った。

オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック(OITNB)のVEEだ。



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