【反差別】アフリカ・タンザニアで今も続く「アルビノ狩り」と戦う活動家たち【動画】

underthesun.jpg

黒人にもアルビノがいて、肌の色は薄く、頭髪は透き通るような金色だ。ファッション界など、一部ではもてはやされているアルビノだが、タンザニアなどアフリカの一部では差別の対象となっている。いや、「差別」の一言では、彼らの直面する過酷な現実は表しきれない。
遺伝子疾患であるアルビニズムについての理解が乏しいため、白人の男と寝た結果だと誤解されたり、神様の怒りだとか、幽霊だと言われ、家族に悪いことが起こるからと生まれた瞬間に殺されることもある。運良く生き延びても、アルビノに触ると悪運がつくと言われたり、食べ物に触れるとその性質が移ると言われたり、就職できなかったり、アルビノ同士での結婚を矯正されるなど、様々な差別を受けている。そればかりではない、アルビノの身体は富や幸運がもたらされるという迷信があるため、襲われて、手足を切り取られたり、殺されることもあるのだ。タンザニアでの「アルビノ狩り」や、その大きな原因である呪術医という存在については、すでに日本語でも読める記事が出ている。

しかし、これらの因習に立ち向かい、アルビノが安心して暮らせる社会にするために活動しているアルビノ自身の活動について紹介されることは少なかった。

今回、素晴らしいドキュメンタリーを見つけたので紹介する。



In the Shadow of the Sunは、タンザニアで生きる2人のアルビノを追ったドキュメンタリーだ。

一人は、人々の啓蒙活動を情熱を捧げる活動家のジョセファット。もう一人はアルビノ狩りの多い地方の島に住む少年ベダストス。アルビノだったために父親は家族を捨て、地元でもいじめられて学校を辞めざるを得なかった。しかし、読書好きで手先が器用な彼は、教育を受け電気技師になりたいと熱望している。

タンザニアでは、アルビノの子供たちを守るため、高い塀に囲まれた、アルビノ専門の学校がある。ベダストスは、その学校へ転校を志願するが、定員がいっぱいだと断られてしまう。

ジョセファットは、非アルビノとの奥さんと、二人の子供と共に、アルビノ狩りの比較的少ない首都に住んでいる。しかし、いまだやまないアルビノ狩りのニュースを目にして、国中を巡ってアルビノ狩りを止めるための活動をすることを決意する。

訪れる先々で、アルビノは幽霊や邪悪な存在ではなく、アルビニズムを持った普通の人間であり、同じ権利があることを力強く訴えるジョセファット。さらには、人々に「アルビノの身体を持ってくれば金持ちになれる」と人々に吹き込んでいる元凶である呪術医にも正面からたちむかい、対話を試みる。

やがて、学校に行きたいと熱望しているベダストスに出会い、昔の自分を見るようだと心を動かされたジョセファット。ベダストスの母親はHIVウィルスに感染していた。「自分が死んだら息子は村の人間に殺される」と危機感を覚える母親。ジョセファットはベダストスを受け入れてくれる学校探しに尽力する。見つけた学校はアルビノ専門の学校ではなく、アルビノもそうではない子供も共に学べる学校だった。

ジョセファットは、アルビノだけを集めて施設にいれても問題は解決しないと考えている。アルビノ専門の学校だけでなく、アルビノの大人を集めたキャンプも存在するが、そのような施設にしかアルビノが住めないというのは、住みたい場所に住むという基本的人権の否定だ。

だから、ジョセファットは危険を感じることはあっても身一つで人々の前に出ていくし、人間としての肉声をさらけ出すことで、アルビノ狩りをやめさせようとする。

ジョセファットの親友もアルビノだ。紫外線から身を守るメラニンが不足しているアルビノは、体力がなく視力も弱い。しかし、ジョセファットは「いつかキリマンジャロ(タンザニアにある、アフリカ一高い山)に登るんだ。アルビノだって人並みにできるんだと皆に証明するために」と夢を語る。

アルビノの権利のために闘っているのはジョセファットだけではない。国の指導者は繰り返しアルビノ狩りをやめさせようと躍起になっているし、アルビノ自身が立ち上がり、理解を求める「アルビノの日」にはプラカードを掲げてパレードやパフォーマンスが繰り広げられる。アルビノの歌手がヒットチャートに入っているし、アルビノだけのサッカーチームも存在する。最近ではアルビノの国会議員も登場した。アルビノへの理解は徐々に広がりつつあり、アルビノを狙った犯罪も徐々に減りつつある。

しかし、問題はアルビニズムへの正しい知識がないことにとどまらない。まず、貧困。「アルビノ狩り」の背後にあるのは貧困だ。アルビノの身体を使ったお守りが富をもたらすという言い伝え自体は迷信かもしれない。しかし、誰もがそれを信じ、皆がそのお守りを求めるゆえに、アルビノの身体部位には高い市場価値が生まれてしまい、アルビノを殺したり腕を切り取ることに成功した者は、現実に巨額の富を手にしてしまう。嘘から出たまことである。「人並みの暮らしをするためなら、よい生活をするためなら、自分も殺すかもしれない」と漁師は告白する。

次に、司法制度。アルビノ狩りの犯人は村の中で知られていても、逮捕されなかったり、死刑が決まっても執行されなかったりする。そのような司法制度の麻痺が、犯罪を生む温床になっている。

さらにアフリカで影響力を持つ呪術医の問題もある。アルビノを使った「魔法の薬」を作ったり、人々をそそのかす呪術医をどうにかすれば、問題は解決するように思えてしまうが、事態はそんなに簡単ではない。そもそも、呪術医を信じるということ自体が不思議なことに思えるが、実は似たような問題は、日本にもアメリカにもある。「呪術」という言葉こそ使わないが、伝統医療/代替医療/統合医療といった分野は一定のシェアを常に占めている。「アルビノをどうこうすることで不治の病が治る」に似た信念を私たちも持っている。

また、「呪術医」的存在の施すケアが患者にとって効果を発揮するケースも多いため、呪術医に頼るという文化を笑い飛ばすことはできないし、タンザニア社会を変えるための手段としては現実的でもない。

ではどうすればよいのか……。

ジョセファットの目標だったキリマンジャロ登頂は、テレビでも取り上げられた。限られた体力と視力でノロノロと進むジョセファット。「とても辛かった」と彼は後に語っている。しかし彼の頭にリタイアという選択肢はなかった。「アルビノでもできるんだと証明したい!」という強い信念があったからだ。

このジョセファットのキャラクターが素晴らしい。「人間狩り」という響きの残酷さや、「アルビノ」というビジュアル的なインパクト、さらに「アフリカ」「呪術医」などの物珍しい要素が揃っていて、センセーショナルにまとめることもできるトピックだが、このドキュメンタリーを通じて一番心に残るのはジョセファットという人間の強さと前向きさだった。

わたしは途中から涙がこみ上げてきたのだが、ジョセファットは決して泣かない。「涙は隠す。泣いても解決にならない。社会を変えないと」と、淡々と語り、人々の前に立つ。さらわれて殺されるかもしれなくても。呪いとか、白い悪魔と呼ばれながらも。

彼の熱意のこもった語り口と、何があっても進んでいくという信念の強さには、住んでいる場所や立場を越えて強く励まされた。

今、この瞬間、私たちの側にも、迫害され、身の危険を感じながら暮らしている少数派の人々がいる。どうしたら安全に暮らせるのか?どうしたら、この社会を変えられるのか?

6年間かけて作られたというこのドキュメンタリーのなかに、簡単な答えは用意されていない。でも、このドキュメンタリーは希望を与えてくれる。そして、少数派にとって、まず大事なものは希望なのだと思う。希望があれば、生き延びられる。立ち上がり闘う一人の姿で、何百人、何百万人の人が勇気付けられる。だから今立ち上がっている人に、世界中にいるジョセファットに無限の尊敬と愛を届けたい。

ありがとう!

アルビニズムを持つ人々の支援団体

Under the same sun
http://www.underthesamesun.com/


関連記事
スポンサーサイト
にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ビアン(ノンアダルト)へ 👈応援クリックお願いしますm(__)m

comment

comment form
公開設定

trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。