島の娘に恋をして

フローズンヨーグルト屋で会った彼女はジムに行くためのジャージ姿だった。私はミーティング帰りの仕事服。シャツに、ストライプのはいったパンツに、ヒール靴。お互いに10日前とはずいぶん違う。

あの日、私たちはラッシュアワーの半蔵門線並に込み合っていたクラブのフロアで知り合った。彼女は白いVネックのミニワンピに、白いハイヒールを履いていた。彼女は私のネクタイを引っ張って引き寄せ、片足を絡ませた。私のかぶっていたお気に入りのパナマ帽を脱がせると、髪の毛を束ねていたゴムも外して「この方がいいじゃん」といって笑った。そして私たちはキスした。何度も。そのことを彼女は覚えているだろうか。

「…で、あなたはどんなタイプの子が好きなの?」

彼女はヨーグルトをつつきながらそう切り出した。

「タイプ…ねえ。なんだろう。外見はフェミニンな子だけど、女女しすぎてなくって、ワイルドな感じで、面白くて…」

こんがり日に焼けていて…ロングヘアで…ダンスがうまくて…って続けようと思ったけど、なんだかそれってそのまんま目の前にいる彼女のことをさしているようにきこえてしまう気がして私は口をつぐんだ。

「あなたは?」

「私は…そうね…大抵の場合アイランド・ガールに恋をするわ」

「island girl?」

それってフィリピンとかハワイとか、サモアとか…いわゆるPacific Islanderと呼ばれる人々のことかなと一瞬頭をよぎった。

island_girl.jpg


「アイランド・ガールっていうのは…なんていったらいいのかな。説明できないけど…アスレチックで…フェミニンで…ロングヘアで…日に焼けていて…」

なんだ、それってあなたのことじゃん。と私は心の中で思った。

わかるよ。ゴーギャンの絵に出てくるみたいな女でしょ?まるでたった今南の島からバナナボートで到着したみたいな、野性的な瞳と、つやつやした黒光りする肌と、強そうな体に、ビキニとか、布を巻き付けているんだ。

456px-Paul_Gauguin_-_Deux_Tahitiennes.jpg


そうか。私もきっと好みの女の子を訊かれたらアイランド・ガールと答えればいいんだ。(island girlでのイメージ検索結果。かなりどんぴしゃり)

私自身は決してアイランド・ガールとは言えない。まず、私は色白で、どんなに日光浴しても綺麗な日焼けが出来ない。皮膚が真っ赤になり、そして無惨なそばかすが残る。それに、私は一見アウトドア派に見えるらしいが、実はめっちゃインドア派。海行ったらサーフィンするより、ぷかぷか浮かんだり、穴を掘ったり、波の絵を描いていたい方だし、ジムに行くのも、肥満にならないようにという最低限の目的を達成するためだけにやっている。むしろ家で音楽を聴きながら、ブログを書いてる方が楽しいタイプ。足も遅いし、空中逆上がりも出来ないし、体力もないし、すぐ眠くなる。…てそんなことはいいんだ。

「そっか…あなたはアイランド・ガールね」

「そうね。わかんない。見て好きになった人がタイプかな。フェミニンでロングヘアで。そういう子が好き。もちろん性格が一番大事なんだけどね。今までブッチとつきあったことはないわ。いつも私がドアをあけて彼女をエスコートする側なの」

でも、あなたと会った日、私はどっちかっていうとブッチな格好してたと思うんだけどなあ。アイランド・ガールとはほど遠い自分のことを恨めしく思いながら、それでも、私は彼女をデートに誘おうと心の中で決めていた。あのビーチ沿いのレストランに行って、その後彼女が行きたがってたライブバンドがあるバーで飲もう。絶対だ。

☆ ☆ ☆

彼女にもう一度会いたいって、ずっと思ってた。
あの日、彼女は相当酔っぱらってたし、全然何も覚えていないんだろうなと思った。
他の女の子と同じように!

例えば私がパーティに誘ったり、明日の夜何やってるの?ってメールしても返事がなかったりするとき、それを痛感した。
そうだよね。クラブの中で知り合う女の子のほとんどは…クラブの中でどんなに盛り上がっても、それだけで終わり。次には続かない。今まで何度もそれがあった。
また今度も同じことの繰り返しだっていうだけさ。アメリカ生まれの女の子にかなうわけないよ。彼らはドライで残酷で美しい。彼らはいとも簡単に唇を与え、いとも簡単にそれを忘れる。いつものことさ。でも、それを思うとなぜか胸が締め付けられるように哀しいのだった。

彼女が気まぐれにメールをよこすと、それはまるで天からの声みたいに、甘く香しく私の心を乾きを潤した。だから会えることになった時すごく嬉しかった。たとえそれがフローズンヨーグルトを食べおわるまでの短い時間であっても。

好きになりそうって思えること出会えることはなかなかない。
いいって思った子と2回会えることはなかなかない。
その子が、アメリカの、30分以内の距離に住んでて、シングルで、24歳以上で、ゲイであることなんてめったにない。
ていうか、人生は一回しかない。
そして私はシングル。
シングルで寂しいことや辛いことだってたくさん我慢しているのだから、こういうシングルの醍醐味(いいなと思った子を好きな時に堂々と口説く)を楽しまなくてどうする!

人生に恐れるべきことなど、何ひとつない。

いけー!
いけー!自分!

どんどんどんどん!(太鼓の音)

って感じですが、実は風邪気味です。
げほげほ。
辛いよー。

皆さんも季節の変わり目、風邪など引かないでくださいね。
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Re: 島の娘に恋をして
アイランド・ガール、なるほどなあ。
私は中味は完全インドア派だけど、見た目はかなりアイランド・ガールに近いので(焼いたら赤くなるすきもなく、すぐに黒くなれるし、ゴーギャンの絵の真ン中の女性に体格もかなり近い--;)、逆にゆうさんみたいに、全く焼けない白い肌に憧れます。羨ましい。

なんだかんだ言っても、結局は決め手は性格というか相性だと思うから、楽しみながら頑張って!そして、風邪、お大事にね。
  • 2008/09/11
  • おと
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Re: 島の娘に恋をして
おとさん

おおーアイランドガールですねー
いいないいないいなー。
中身はインドアで、外見アイランドって相当最強ではないですか?(中身がアイランドガールって…なんとなく頭がお花畑っぽいので)

がんばりまーす。

で、今その子をあのてこのてでデートに誘い出しているのですが、なかなか…ね。。。。
  • 2008/09/13
  • ゆう
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